SónarSound Tokyo 2013 Day 1

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  • 容赦なく降り注ぐ雨と吹き荒れる強風という悪天候の中、今年も幕を開けた音楽・メディアアート・テクノロジーの祭典。東京では6回目の開催となったSonarSound Tokyo 2013は4月6日(土)に本家イベントのSonar By Nightの雰囲気が味わえるオールナイトイベントとして、7日(日)にSonar By Dayが体験できるデイイベントとして行われた。今年も、国内外の様々なジャンルやスタイルのトップアーティスト達が集結し、刺激的で夢のような2日間が繰り広げられた。 4月6日、22時。暴風雨で電車が止まるなど外界のコンディションは最悪であったが、一歩新木場ageHaの会場に足を踏み入れ、メインステージであるSonarClubが目の前に広がると、そこは異世界。恥ずかしいことに筆者は今回が初Sonarであり、ageHaに訪れるのも初めてだったのだが、SonarClubの空間の広さと迫力に圧倒され、広大な宇宙へと飛び出した気分になった。一番手として登場したJohn Talabotがビートの効いたセットを披露し、徐々に会場の温度を上げていた。その頃、唯一の屋外ステージでありフロアの真ん中にプールがあるSonarLabを覗いてみると、DJ Sarasaがグルーヴィなディスコからヘヴィなベースミュージックまでを網羅したプレイを展開。雨は依然として弱まらず、フロアで踊る者は居なかったが、建物の中から窓越しに眺めるだけでも自然と身体が揺れてしまう選曲であった。そして会場の反対側のSonarComplexに足を運んでみる。こちらにはバーや物販スペース、映画の上映スペースもあるのだが、Red Bull Music Academyの最先端の音楽シーンを取り上げた話題のドキュメンタリー、『H△SHTAG$』が上映中であった。革新的でインタラクティブなアートインスタレーションもあり、視覚的にも楽しめる要素が満載な部屋だ。そしてRed Bull Music Academyがキュレーションを務めるテントのSonarDomeがオープンすると、Hiroaki OBAが登場し独自のセンスでディープな世界を構築。会場内の人数も増え、いよいよフェスらしい雰囲気になってきた。 ここからはステージごとに流れをレポートしよう。メインステージのSonarClubではTalabotの後にActressが登場し、不穏なノイズと凶暴なビートで深い闇を切り裂き、難解かつスリリングな別世界へと我々を誘った。その後バトンタッチしたのはAtari Teenage RiotのAlec Empire。アグレッシブでダンサブルなDJセットで空気を一転させ、巧みに盛り上げた。そして1時をすぎた頃、現れたLFO。背後に設置された巨大なLEDスクリーンには鮮やかな図形、模様がリズムと同調して輝いており、「Freak」、「LFO」など人気曲をプレイながら、電子音と発光ダイオードのシャワーでオーディエンスを陶酔させた。ガンガンにボルテージが上がってきたこの頃、Sherwood & Pinchの地を這う低音が鳴り響き、雰囲気がガラリと変わった。骨の髄まで届く心地良い振動が会場を包み、今回が初ライブであった2人の真っ黒のダブが鼓膜を揺さぶった。そして1日目のラストを飾ったのはBoys Noize。彼のアゲアゲのDJセットはパーティーピープルのハートを鷲掴みにし、フロアは大興奮の大盛り上がりとなった。 さて、SonarLabではDJ Sarasaの後にSapphire Slowsが登場。エクスペリメンタルでアンビエントな音景色に、彼女の流麗なヴォーカルが響いた。そして零時を迎えた頃にagraphがブースに現れ、幻想的な音色を雨空に滲ませた。雨脚が弱まった頃に始まったMadeggのセットは、雨粒のように繊細で美しく、雨が止んだ頃にスタートしたSubmerseは、ヒップホップ、ダブステップやベースミュージックを爽快に行き来しながら、朝までプールサイドの客を揺らした。 一方、SonarComplexでは『H△SHTAG$』の上映後、Daito Manabe + Satoru Higa + MIKIKO + elevenplay + TAKCOM + Ametsubによるダンス+インスタレーション・プロジェクトの映像、前衛的な新感覚アニメ『Bibliomania』など先鋭的な映像作品の公開が続いた。それらの上映が終わると、話題のレーベルDay Tripper Recordsのレーベルショーケースがキックオフ。勢いのある次世代ビートメイカー、VJ達が立て続けに登場し、それぞれのカラーを提示した個性的なパフォーマンスを披露。最後は会場にて先行販売されていたKarl Hydeのソロアルバム『Edgeland』の特典映像である、『The Outer Edge』の上映で締めくくられた。 Red Bull Music Academy主催のSonarDomeでは、Hiroaki OBAに続いてDaisuke TanabeとKidkanevilの注目ユニット、Kidsukeがライブをスタート。細かい音の粒子の無秩序が織りなすハイブリッドサウンドが最高にクール。お次はAddison Grooveが繰り出す怒涛のジューク/トラップ/ジャングル・セット。そしてxxxyのハウス中心のDJプレイ、Cosmin TRGの硬派なテクノプレイと続き、Akiko Kiyamaのツボをついた選曲でフロアは朝まで盛り上がっていた。
RA