DJ Rashad - Rollin EP

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  • Planet Muを主宰するMike Paradinasは最近行われたFACTのインタビューにおいて、HyperdubがDJ Rashadの「Rollin EP」によってフットワークを導入したことについて安心したと語っていた。というより、Kode9がボスを務めるHyperdubからフットワーク・シーンの代表格が登場するという流れはそうなるべくしてそうなったという必然性によるものだろう。Kode9は最近フットワークをそのセットに取り入れていたし、彼の間もなくリリースされる新作シングル"Xingfu Lu"にしてもかなりの部分でフットワークの要素が導入されている。少なくとも、UKサウンドにおいてフットワークが流れ込むさまは見ていて愉快だし、そうしたことをやってのけるにはRashadこそ最も相応しい男だろう。最近ますますクリスピーな質感を増してきている彼の作品では、フックがよりはっきりとしたものになりその構造もより強固なものになりつつある。グローバルなオーディエンスを得たことで洗練が進んだということなのだろう。 このEPのタイトルトラックは繊細に分解したR&Bバラードとヒップホップのゆったりとしたグルーヴを取り入れた典型というべきだろう。Spinnとのコラボレーションによる"Broken Hearted"も同様の路線だが、その感傷性は一際増している。それ以外でも、Rashadは"Let It Go"でのジャングル的な仕立てにおいてロンドンの豊かな音楽的伝統への共感を示している。オープニングでの堂々たるブレイクビーツのエディットから、ディーヴァ・サンプルや潤いのあるストリングス・パッドを交えたこのトラックは、ともすれば単なる模倣の寄せ集めになりそうなところをフットワーク独特のきびきびとしたテンションの高さで見事に特徴づけている。DJ Mannyとの共作による"Drums Please"ではよりクレイジーなブレイクビーツの使い方をしているが、その主役はあくまでも素晴らしく派手なシンセ・メロディである。これほど毅然としたサウンドを持ったフットワークもなかなかないだろう。
  • Tracklist
      01. DJ Rashad – Rollin 02. DJ Rashad – Let It Go 03. DJ Rashad & DJ Manny – Drums Please 04. DJ Rashad & DJ Spinn – Broken Hearted
RA