Holdie Gawn / Micawber - Graenul / Shinkansen

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  • ロンドンに拠点を構えてスタートした新レーベル、Sylpheのファースト・リリースを飾る2人のプロデューサーについての詳細はほとんど明らかになっていない。そのうえ、この12インチは盤面にスタンプのみが押されたリミテッド・リリースだ。長尺で入念に磨き込まれたグルーヴのディテール、00年代Perlonの影響下にあるじわじわとしたミニマルさやトリッピーな反復はここ最近のハウスやテクノの主流とはやや一線を画しており、とりわけUKにおいてはこうしたサウンドは異例だ。Micawber "Shinkansen"におけるRicardo VillalobosやThomas Melchiorからの影響はとりわけ目立っており、短く刈り込まれたビーツが水気を含んだバックグラウンドをたたえている。小節の終わりごとになだらかに傾き、動的なエナジーが淡々と引き継がれていくそのリズムのディテールは非常に繊細で好ましいものだ。 Holdie Gawnによる"Graenul"もまた同様、ドライにストリップ・ダウンされたトラックではあるのだが、より今日的なプロデューサーたちからの影響を感じることが出来る。隙間を活かしたサブ・ベースやスウィングしたドラムは初期のKowton、とりわけIdle HandsやKeysoundからの初期12インチ群を彷彿とさせ、落ち着いたビートやうっすらと漂うファンキーさはLowtecやKassem Mosseにも近しい。両トラック共にディテールへのこだわりが感じられ、シンプルな素材を使いながらディープに掘り下げるそのアプローチはデビュー・リリースとしてはかなり印象的だ。謎めいた曖昧なアーティスト・ネームこそ纏っているが、ヴェテラン・プロデューサーの変名だと言われても不思議ではないほどだ。
  • Tracklist
      A Holdie Gawn - Graenul B Micawber - Shinkansen
RA