- Ali Nasserの創る音楽の大部分には、テクノからの影響が深く根ざしている、シンセは硬質で、ビーツは生々しく、ミニマリスト的なアプローチが常に一貫している。しかしNasser本人は自分自身がハウスを創っていると見なしており、ハウス独特の中毒性を自らの音楽に落とし込もうとしている。
その音楽をどう呼ぶかという術語体系は別にして、このルーマニア人プロデューサーによるPleasure Zoneからの2枚目のシングルは印象的で充実したパッケージにまとめ上げられている。Kraftwerk的なリズムを取り入れた"Go Away"は洞窟のようなシンセで整えられ、風変わりに跳ねるベースラインと共にミニマルに展開する。"The Night"の奥底深くには地下でうごめく不明瞭なビーツが横たわっており、一方でその表層では隙間を活かしたスネアとハイハットのコンボが濃密に積み上げられ、展開ごとにパーカッションのレイヤーがさらに重ねられて密度を増していく。4曲中異色の存在と言えるのが"Folkderground"で、メタリックな硬質さとドリーミーなパッドが溶け合わさっている。タイトルトラックとなるストーン気味の"Time"ではうねるようなシンセに鼓動のようなシンセと威圧的なパーカッションが組み合わされている。
Tracklist A1 Go Away
A2 The Night
B1 Folkderground
B2 Time