Nina Kraviz - Marcellus Pittman & Urban Tribe Remixes

  • Share
  • Nina Kravizのファースト・アルバムは2012年にリリースされたハウス・アルバムの中でも、その幅広いキャラクターや印象的なスタイルという点で、最も優れたもののひとつだった。Kravizのプロダクションは点描的な傾向にあり、そのシンプルでありながらも特徴的なエレメントはいかにもリミックスにお誂え向きと言えよう。アルバムからは2枚目となるこのリミックス集はいわばデトロイト・スペシャルとでも言うべき内容で、デトロイトのハウス・ヴェテランMarcellus Pittmann、そしてDJ StingrayによるUrban Tribeがリミックスを提供している。 "Working"のオリジナル・ヴァージョンにおけるソウルフルなパッドがひっそりと表面ににじみ出てくるあたり、すでにPittmanらしい抑制されたプロダクションをしのばせている(2011年にリリースされた"The Mad Underdog"を聴いてみるといい)。しかし、Pittmanはそこから派生するオリジナルのエレメントを敢えて排除し、ほんの少しのサンプルだけにフォーカスしてクラシックなディープ・ハウスへと仕立て直している。その成果としてのトラックはあまり人懐っこいものではないが、その奇妙さにはなぜか心惹かれる。コードの断片が不安定にピッチ変化されて雫のようにこぼれ落ちるあたりはとりわけハイライトだろう。"Taxi Talk"のオリジナルはKravizのポップな側面を惜しげも無く曝け出したトラックであったが、Stingrayはそのリミックスにおいて音色を置き換え、彼女のスモーキーさを威圧的なエレクトロの枠組みにはめ込んでいる。硬質に並べられたハイハット、ひんやりとしたシンセのテクスチャー、膨張する808はまさに典型的なエレクトロといったところなのだが、いかんせん決定的なダイナミズムにかけており、ことさら興奮させられるものとは言えない。
  • Tracklist
      A Working (Marcellus Pittman Remix) B1 Taxi Talk (Urban Tribe Don't Lie To Nina Remix) B2 Taxi Talk (Urban Tribe No Strings Remix)
RA