Massimiliano Pagliara - Magic Serials

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  • Massimiliano PagliaraがAbletonのテクニカル・サポートで働いていることを知っている人なら、彼がそのギーク的な側面を見せたとしても別段驚きはしないはずだ。LARJから届けられたこのベルリン在住イタリア人による3トラック入りの新作は、彼が実際にその制作に使用した機材のシリアル・ナンバーに基づいて曲のタイトルが付けられている。つまり、"JP4-808-P5-106-DEP5"を例に挙げるとそこにはRolandのJupiter-4、Prophet 5、Juno 106、808、RolandのエフェクターDEP5が使用されている、という寸法だ。 "JP4-808"はいかにも典型的でオールドスクールなダンスミュージック制作機材によるサウンドで、冒頭から圧倒的なベースが震動し、無機質な唸りはやがて美しいキーボードやエコー、まばらなスネアが広がる光景に包まれてゆく。多幸感に溢れたダンスフロアー・トラックという点では"MS20-707-M/P-P6-SPX90"が出色で、激烈なオシレーションと柔らかいフォーカスで訥々とリズムを刻むTR707が融合されている。"LM2-JP4-106-606-BL-303-SDE2000-P6-TX81Z"は当代的な重心の低いテック・ディスコにも互換性が高く、これまでのPagliaraの作品の大半に比べてもさらにコールド・ウェイヴ的なムードが色濃く表れている。そこにはエレガントさが脈打ち、シンセは美しく咽び、断続的なアシッド・ラインが小刻みに震え、ベースが堂々と闊歩する。その難解なトラック・タイトルとは裏腹に(たしかに機材マニアには有用だろうが)、なんとも優美な作品である。
  • Tracklist
      A1 JP4-808-P5-106-DEP5 A2 MS20-707-M/P-P6-SPX90 B LM2-JP4-106-606-BL-303-SDE2000-P6-TX81Z
RA