- Kiyokoとは、SynkroとBering Straitによるかなりドラマティックなコラボレーション・プロジェクトの名だ。彼らの間に共有されている深いエモーションを、そっくりそのままリスナーにも感じてもらいたいと欲している。昨年リリースされたデビュー作では、Synkroのあまりにエモーショナルな部分があからさまに表れていて、ともすれば安っぽい香水のようなものになりかねないところなのに、そこには予想外とも言える明快さがあったのも確かだ。再びSamuraiのヴァイナル・オンリー・レーベルから届けられた本作にも新鮮さをともなった簡潔さと精巧さが込められている。
この作品において、このデュオはチージー（ありふれた）なエレメントに対し真っ向から取り組んでおり、あたかもそれがひとつのチャレンジでもあるかのようだ。彼らが具体的に制作中どんなことをやっていたのかは定かではないが、パン・フルートが遠くで朧げに明滅するアンタイトルの3曲目を聴いて私の批評眼もすっかり感服させられた。吐息のようなシンセとデトロイト的なコードを配した2曲目はAutonomic時代の作風をそっくりそのまま移植したかのようでもあるのだが、痛烈なストリングスとささやくようなヴォーカルでお決まりのテンプレートを新鮮なものに聴かせようとしている。このEPは2つの荘厳なインタールードが冒頭と最後に収録されており、まず最初のひとつめにはDavid Gilmourを思わせる情熱的なリード・ギターが奢られ、ふたつめにはバラバラのドラム・パターンに氷のようなピアノのコードが埋め込まれている。Kiyokoは誰にでも受けるようなプロジェクトではないにせよ、ふとした瞬間に琴線に触れるそのさまはとびきりゴージャスだ。
TracklistA1 Track 1
A2 Track 2
B1 Track 3
B2 Track 4