- Baazが昨年Slices of LifeからリリースしたクラシックなディープハウスEPは、あたかもBaazことBastian VölkerがダンスミュージックにおけるReinheitsgebot(訳注:ビール純粋令。1516年4月23日にバイエルン公国にてヴィルヘルム4世が制定した、「ビールは大麦、ホップ、水のみを原料とすべし」と原料を定めた法。)にこだわって作ったかのような作品であった。
Völkerのセルフ・レーベルOfficeからリリースされたこのEPの冒頭2曲も、そうした純粋主義的な手法からそう遠く離れていはいない。"Owl's Night"には粘着性のパッドがまとわりつき、砕けた氷のようなハイハットとミッドテンポの909ビーツとその周りをごそごそと這い回るようなパーカッションが加わる。Baazは"Those Things"での煌めくような、しかしくぐもった質感のピアノ・ループが左右のステレオ空間をフェイジングしその下に下降するようなベースラインを敷く事でリスナーのハートをぐっと掴む。
Baaz & Iron Curtis "K.M.S."のSoulphictionによるリミックスで雰囲気はまた変化する。クラシカルなディープさと言うよりはよりグリッチーでダウンテンポ調のハウスといった趣のこのリミックスで、Michel Baumannはコンガやかすれたシンセ、沈鬱なピッチ・ベンドなどのレイヤーを重ねている。Baazによる"Whataboutalkabout"はメランコリーなトラックで、悲しげなローズ・ピアノとレイジーに爪弾かれるようなベースに彩られた、ほぼビートレス・トラック的なムードでまとめ上げられている。
TracklistBaaz - Owl's Night
Baaz - Those Things
Baaz & Iron Curtis - KMS (Soulphiction remix)
Baaz - Whatabouttalkabout