A Number of Names - Sharevari

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  • 80年代のはじめにハイスクール・パーティ・シーンから生まれたNumber of Names "Sharevari"はデトロイト・テクノの原型として広くその存在を知られるようになった。1981年のリリース当時、Capriccio Recordsというレーベルからほんの数百枚プレスされただけのこの曲が、長い年月を経て遂にオリジナルそのままの12インチとしてリプレスされる運びとなった。 このレコードに馴染みがないというリスナーは、まずはこの曲のパーツごとに聴き込んでみるといい。無骨なキックははっきりとしたクラップや鋭利なハイハットと一丸となって浮遊し、短くシャープにはじけるベースの震動によってぐいぐいと引っ張られる。踊るようなシンセはベースラインの周りを楽しげに走り回り、リスナーはやがて"Some bread and cheese and fine white wine/Designer chic but a matter of time."という傑出した歌詞の冒頭部分へと導かれる。ここからはSharevariというどこかヨーロッパ的なプレイボーイ風のナレーションが続き、Kraftwerk "It's More Fun to Compute"のサンプルやカルト的なムードを匂わせる女性コーラスが鳴り響く。Bサイドのインスト・ヴァージョンはリード・ヴォーカルがミュートされている以外はほとんど同じ構成だ。 まさしく魅惑的なレコードであり、黄金期のPrinceやKraftwerkの影響下のど真ん中で育った最初の世代の感覚を完璧なまでに捉えている。このレコードがなぜこれほどまでにタイムレスで背筋の凍るようなクラシックであり続けているのか、その理由は到底語り尽くせない。
  • Tracklist
      A Sharevari (Vocal) B Sharevari (Instrumental)
RA