Loops Haunt - ZENITH

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  • PANやBlackest Ever Blackといったレーベルが展開するインダストリアルなサウンドスケープのおかげで、いま再びかつてのジャングルからの影響が静かな話題を呼んでいるが、ブリストルに拠点を置くBlack AcreもまたLoops Hauntの「ZENITH」というタイムリーなリリースを届けてくれた。PANやBlackest Ever Blackのアーティストたちが忘れ去られた古いレイブ・カセットテープからワイルドなエッセンスを引き出し、それをミニマル化した文脈で表現してみせているのに対して、ダンディ出身のScott Gordanははるかに直感的なアプローチでそうしたトレンドを切り崩そうとしている。 ぼろぼろのテープで繋ぎ止めたかのような7曲入りのこのミニEPにおいて、このスコットランド人はスコットランド西部の風景にジャングル独特のシンコペートしたループを溶かし込んだ難解なオーパスを展開している。そうしたアプローチが最もよく表れているのはタイトル・トラックと"dltfaypily"の2曲だろう。この2曲を特徴づけているのは破滅的に引き延ばされたスネア・ロールだ。それらに対して、"mun Rhul"や"Galleon"といった小品ではパーカッシブなコントラストがつけられたヒップホップ的インタールードを展開しており、RZAのビーツにGZAの鋭く液体的なフロウが乗ったさまを思わせるような勇壮で壮大な印象を与えている。ほかにも、"Heal"やイントロの"Fathom"はBrainfeeder的な西海岸流グリッチ・コアにも近い印象のトラックだったり、最後の"Hike"は陰鬱なキーがブレてメカニカルなグルーヴに導かれたりもしている。
RA