Phase - Behind the Sun

  • Share
  • RAのNick Connellanが昨年Phaseの「Binary Opposition」をレビューした際、彼は「構成上はほとんど変化の無いミニマルな構成でありながら、そのちょっとした変化がもたらすインパクトは絶大だ」と書いていた。その驚きは、この"Behind the Sun"でもまったく変わっていない。緊張感に満ち、モノクロームに塗られたトラックはBen Klockを彷彿とさせるが、単音のベースがコードと対比され、シンプルなキックとハットのコンビネーションがうっすらとしたディレイで動いているあたりはかつてKanzleramtからリリースしていたVoodooamtあたりさえ思い起こさせる。非常に注意深く削り出され、熟練した技巧が注ぎ込まれたトラックではあるが、一聴しただけではあまり驚きはないかもしれない。だが、それとは気付かせないほどの速さでコードが変化すると、あっという間にグルーヴが加速しはじめる。こうした変化はトラックのなかで1回か2回だけ起こるだけなのだが、トラック全体のグルーヴを別次元に解き放つには充分な威力を持っている。 "The Chasedown"もまた同様に骨太なトラックで、無慈悲なベース・ブリープがキックとベルが絡んだ沼に刻み込まれていく。このトラックではむせび泣くような歪んだトーンがグルーヴの動きを型作り、栓抜きを一気に抜いたかのように高域を突き抜けていく。
RA