Lakker - Torann EP

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  • Philip Sherburneが今年始めに書いたLakker「Arc EP」のレビューにおいて、彼はこのアイルランド人デュオの賞賛すべき音楽性の幅広さについて指摘していた。Blueprintからは今年2枚目のEPリリースとなるこの「Torann EP」においてその幅広さはより予測不可能なものとなって明らかになっており、まるでそれはMount Kimbieが純テクノ化し、Mouse on Marsをとりわけダークに仕立てたかのようでもある。Lakkerはマシーン・ミュージックの領域に触知可能性と遊び心を持ち込み、どんなサウンドが次に鳴らされるのかリスナーを幻惑し続ける。 とはいえ、このEPにおける大部分はBlueprintというレーベルカラーから予想できるに十分なリズム的構造を持っている。1曲目の"Summer Rains"はアシッド・チューンが寒く雨まじりの夜に迷子になったかのような(もしくはわざと迷子になったかのような)サウンドであるのだが、同様のムードを期待して2曲目の"Mustard Crying"に進むと、ぼんやりとしたリズムと不規則なノイズの狭間で面食らうことになるだろう。"CIAR"の大半はまるでJames Ruskinのトラックががぼろぼろのラップトップ・スピーカーで鳴らされているような質感だ。いっぽう、いみじくも"Static & Amp"というタイトルが付けられたトラックはまるでルームメイトが鼻歌を歌うのをシャワールーム越しに聴いているかのようなサウンドだ。EP最後の"One Note"では多幸感あふれる作風に転じ、EP全体をうまくまとめあげている。
RA