Elsewhere - Trippin

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  • マンチェスターのMindset RecordsはSzareやStickmanのEPリリースによってすでにUKアンダーグラウンドにおいてそのダークな存在感を示しつつある。Mindsetとも近しいプロデューサーであるElsewhereによるこの最新作もまた、レーベルの存在感を高めるのに一役買ってくれるはずだ。リズムのフレームワークはUKファンキーやダブステップに由来するものだし、存在感のある808パーカッション、呪術的なヴォーカル・サンプルなどありきたりな素材を援用しながらも、Elsewhereの錬金術的なスキルによってそれらの素材から見事なフレッシュさを引き出してみせている。 "Trippin'"は圧倒的なトラックで、ダイアモンドを削り出したかのようなスネアがタイトな空間に押し込められ、ディストピア的なベースラインに絡められている。Swamp 81やDMZの初期作を真っ暗な洞窟に閉じ込めたようでもあり、しかしそこにはElsewhereならではの嗅覚が確かに光っている。そこから、EPはElsewhereのルーツを垣間見せるような展開へと転じる。"Bott Bott"でのよろめくようなレイヴ調パッドやUKファンキー的なバウンス感覚はその腰にくるグルーヴをうまく引き立てているし、"The Espers"はドリーミーな仕立てでありながらもダークなダブステップ由来の戦慄をともなった不安定でシンコペーションの効いたパーカッションが埋め込まれている。まさに彼のアイデアの泉は涸れることを知らない。すべてのトラックにおいて既知のパターンがほんのちょっと捻りを加えられるだけで実にポジティブで新鮮なものになっている。各トラックの長さは5分にも満たないため、何度も何度もリプレイしたくなるような感覚にさせられる。
RA