Rhadoo - Arhiva EP

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  • その最近の作品が「あまりに実験的すぎる」という一部の批評もどこ吹く風といった風情で、ルーマニア出身のDJ/プロデューサーであるRhadooはミニマル/トライバル/テックハウスの隙間に横たわるストレンジな何かをひたすらに追い求めている。このEPに収められた13分にも及ぶ長尺パーカッション・セッション"Cum Oare"はある意味モダン・テクノにおけるトライバル的もしくはワールド・ミュージック的なエレメントを再援用しているとも言えるが、ともすれば単なるハードなドラムのサンプルを配したミニマルハウスともとられかねない。生っぽくパーカッシブなサンプル群はダンスフロアー的なリズムの枠組みからそれぞれ自由になって動き回ろうとしており、祝祭的でもあると同時にグルーヴィな空間を創出している。 "Geemac"ではひたすら低空飛行を続けるストレートで金属質なビートが続き、低くピッチダウンされたヴォイスと教会での残響のようなパッドが時折アクセントをつけている。しばらくテーマの対比が続き、そこから無調で不穏な響きのシンセがうねりはじめる。ルーマニア語である"Arhiva"を英語に置き換えると、"Archive"(アーカイブ、集積)という意味になるそうだ。他ジャンルの音楽的トレンドを吸収していく傾向を先天的に持ち合わせている現代のエレクトロニック・ミュージック・シーンにあって、この非常に高い完成度を持つ12インチにとって格好のタイトルだと言えるだろう。
RA