Schmoltz - Novy Svet EP

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  • MoodymannやTheo Parrishといったヴェテランから、Red Rack'emやAnthony Naplesといった比較的最近のアーティストまで、巷にはサンプリング主体のハウス・トラックが溢れかえっている。特にここ最近ではそれまでのMPCの12個もしくは16個のパッドで制作していたスタイルからコンピューター主体の制作スタイルへと大部分が移行しており、いまや過剰ともいえる沢山の数のサンプルをひとつのトラック内で扱えるようになってしまった。ベラルーシ出身のニューカマーSchmoltzによるチェコViskyからの新作「Novy Svet EP」もまたそうした過剰なサンプリングで成り立っている作品というわけではないが、まちがいなくそのサウンドはサンプリング主体のトラックメイクの延長上にある。 Schmoltzが作るトラックは、会話をするのにいちいち大声で話さなければならないようなパーティのためのトラックでは決して無い。1曲目の"Ghettup"はじつにエレガントなアレンジが施されており、レイドバックした柔らかいハイハットが繊細なハンド・ドラムと絡み合い、David Axelrod調のオーケストラ・ループとテイスティに処理されたJames Brownのサンプルを落とし込んで非常に濃密なサウンドに仕上げている。それぞれのエレメントの抜き差しもばっちりキマっている。"T.w.s.d."ではノイズだらけの古い7インチから録ったサンプルを6つほど組み合わせ、自らのサンプリング・グルーヴを臆面も無く披露している。"Raindrops"ではもう少し抑制されたムードではあるのだが(空間を充分に残しつつ、整然と並べられたボンゴとドラムキットを組み合わせている)、トラック自体がやや冗長な印象も受ける。Scott FergusonによるリミックスはこのEP中でももっともグルーヴィーさが前面に押し出された仕上がりだが、不協和音のストリングスとクォンタイズの施されていないドラミングが少しばかり悪酔いさせるような印象を残す。
RA