Szare - Dust

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  • 謎めいたマンチェスター出身デュオ、Szareはたしかにこのシーンにおいては新人といってもいいが、こと現在のUKにおけるハウスとテクノの融合したシーンにおいては屈指の存在感を放っている。今回地元マンチェスターのMindsetから届けられた本作は、昨年彼らがIdle HandsやHorizontal Groundからリリースした作品よりもさらにダイレクトで無慈悲な冷酷さを増しており、まちがいなくこのデュオがそのサウンドにおける深みを増しつつ独自の路線を追求していることを示している。 鮮やかに幕を開ける"Dust"はズレたシンコペーションと複雑でパーカッシブなグルーヴがかつてのShackletonを彷彿とさせる。Shackletonを引き合いに出したのは単なる比較のためだけではない。これは、テクノサイドからのダブステップ的アプローチと言うべきで、"Dust"はほかのどのトラックよりもクールなハーフステップとしてフロアーで機能するはずだ。 Bサイドに移ると、"Leaning Towers of Concrete"はまず不穏な立ち上がりを見せる。分厚い雲のようなシンセの群れは、ひとつにまとまりそうでまとまらない。そこへ、背筋も凍るようなエレクトロ・ビーツが放り込まれる。最後の"Você Aí"はおそらくEP中でも最もダンスフロアー向けのトラックだと思われるが、同時にこれまでのSzareらしい面影が最も色濃く感じられるトラックでもある。グリッドにぴったりと嵌め込まれたその音色にはセクシーさのかけらもない。うっすらとトライバルさを匂わせるリズムは次第にゆったりとグルーヴの中へと誘い、ヴォーカル・カットアップが絡み付いてくる。装飾を省いたリズムという意味ではこのEPは機能的なテクノEPだとも言える。しかし、同時にSzareのビート感は常に薄く、予測不可能な点も多い。要するに、ストレートなフロアー向きのテクノとは少し離れたところにフォーカスを置いているのだ。
RA