Trevino - Discovery

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  • Marcus Intalexはこのまたしても素晴らしいEP(今回は彼自身のレーベルRevolve:Rからのリリース)でそのTrevino名義での作品が決して気まぐれの産物ではないことを証明している。このマンチェスター出身の男のインタビューに目を通せば、昨今の彼の爆発的なクリエイティビティの背景にはAbletonへのソフトウェア変更があることがわかるだろう。彼の創る音楽はどれも驚きに満ちている。"Discovery"はSkudgeのようなアナログ崇拝者でさえ顔色なからしめるほどの音圧を持ち合わせ、そのボトムを包み込むサブベースは暖かさにあふれ、細かなキーの断片は遥か上空に引っかかっているような空間性も有している。その一方、"Tweakonomics"では古ぼけた303の実機さながらの強烈なアシッド・ラインを繰り出す。 "Lag"はその反復するベースラインのおかげでより軽快なグルーヴを持つ。マシーン・グルーヴが空間を埋め尽くし、複雑に絡み合いながらときには爆発を起こしたりもする。波のようなブレイクに到るまではひたすら密度をキープしながらじわじわとビルドアップし、トラックは内省的な色合いを強めていく。緊張感が非常に高く、硬質なムードでありながら同時に各トラックには心の琴線を揺さぶるような暖かさも同居している。それはドラムンベースやダブステップの悪辣さをメレンゲ仕立てにしたかのような"Shorty"でのケタミンまみれのシンセや捩じれたベースの中からさえも感じ取ることが出来る。
RA