I:Cube - In Alpha EP

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  • I:Cubeの『"M" Megamix』において"In Alpha"と"Y.O.U.R.O.C.K."の2曲はちょうど中盤に差し掛かる直前に収録されているトラックで、ミックスの展開がダークに推移する直前に明るいピークを作り出している。もしくは一部分だけの明るさと言ったほうが良いかもしれないが、まあいいだろう。"Y.O.U.R.O.C.K."は軽快にスタートし、ざっくりとしたディスコ・グルーヴの上にほとんどキッチュとさえ言えそうなヴォーカルのハーモニーが載るのも束の間、無愛想なベースと唐突な叫びによって曲調はにわかにダークなものとなる。その荒唐無稽な展開はC++の"Angie's Fucked"を彷彿とさせる。いっぽう、"In Alpha"はトラック全体がアイスクリームのような甘さと笑顔に満たされ、軽くかき鳴らされるギターやDX7によるチャイムの音色、ゲート処理されたスネアが醸し出すネオン的な光はWashed OutやCFCFあたりのドリーミーなニューウェーブを思わせるところがある。 LPのダークな側面を象徴する曲として、このEPには"Popular Electronics"が収録されている。Maurice Fulton直系のダビーなテクノ・ディスコといったところだ。I:Cubeならではの優れたサウンドデザイナーとしてのスキルもここでは存分に活かされていて、アコースティックからエクレクティック(折衷性)、エレクトロニックなデジタル・ティンバーを自在に横断しながらキラキラと輝くような色彩をとろけるようなグルーヴのなかに落とし込んでいる。
RA