Sasha Panic - The Trick

  • Share
  • Crime City Disco4枚目のリリースは、レーベルオーナーTobias Gullbergの地元(スウェーデンのマルモ)の友人、Sasha Panicによる作品。これまでのCrime City Discoのリリース同様、ゆったりとしたテンポのハウスが基調になっているが、この「The Trick」に関して言えばこれまでのリリースから群を抜いてファンキーな仕上がりだ。オリジナルでは分厚くうねるようなギターが強い存在感を示しながら、抜き差しされつつ各小節をまたいでいる。ギターの存在感があまりに大きいのでほかの要素が入り込む隙間はほとんど無いくらいだが、その背後では80年代調のシンセ・スタブがシークエンスされている。ごくシンプルなアイデアではあるが、Panicは実に丁寧にそのシンセをアレンジしており、絶妙な不均衡さを持つグルーヴを演出している。 Hans Bergによるリミックスはベースを抜き取ってリラックスしたムードのボンゴやリムショットに置き換え、シンプルなシンセ・ワークにひと手間かけて複雑なものに仕立てている。全体的に見れば、このリミックスは爆発しそうでしない印象がひたすら続くようなところがあるのだが、これはスキルの欠如によるものというよりはその複雑な要素が入り交じったリミックスのアイデアゆえというべきだろう。その点、KLSによるリミックスはより現代的なローエンドや無表情なシンセ・ラインを足すことでしっかりとまとめあげられており、ベースラインが強烈な存在感を示しながらもオリジナルとの見事な対比をみせている。
RA