DJ W!ld - D!rty

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  • 90年代からフランスのアンダーグラウンド・クラブシーンをLaurent Garnierとともに牽引してきた、Guillaume Duchastel De MontrougeことDJ W!ld。OsloやRobsoul、Catwash、International Freakshow、OFF Recordingsなどのレーベルからディープハウスを排出し、ここ数年で評価が高まりSven VathのCocoonファミリーの一員となる。そして、この1年ぶりセカンドアルバムは、Radio SlaveのレーベルであるRekidsからのリリース。 本アルバムの幕開けは、1曲目から3曲目まで薄暗い雰囲気のノンビートの曲。CDリスナーを意識しての構成なのか、いきなりイーブンキックから始まらないところにムード作りを重視した奥ゆかしさを感じさせる。とはいっても、3曲連続でノンビートで始まるクラブミュージックのアルバムはなかなかない試みだろう。4曲目"Woyage"からファットなボトムのキックがゆっくりと打ち込まれるが、大きな展開はなく最後にシタールの音が一瞬入って曲が終わる。なるほど、本作は急かさないで焦らしまくる、ハウスミュージックの醍醐味を形にしたものなのだろう。"Dream Of Me"から徐々にキックが図太くなり"In Love"では割れそうなキックへとほんの少しづつ濃密になってくが、しかしやたらと官能的な空気感が保たれている。タイトル曲"Dirty"でクリックハウス的なアプローチでフッと軽くなったと思わせて、ややディストーションの効いたダーティーなアシッドベースがジンワリと入り込む。ラストの"Remember"も面白い挑戦だ。ダークでアシッドなベースラインにピッチを下げた男の喋り声が絡む、90年代初頭のシカゴハウス・アーティストのPhutureの作風を明らかに彷彿させる。リズムの組み方がシャッフルされていないため、初期シカゴハウスにある特有の黒さというかファンキーさはないが、薄暗い空間の中で揺らめく直線的なグルーヴに引きずり込まれる。アルバム全体を通して、DJ Pierreの提唱したWild Pitchスタイルの系譜にあるシカゴハウスを踏襲した重厚なリズムの配置と、ディープハウス的なリフレインの続くゆるやかな展開なのだが、DJ W!ldのDJキャリア所以か貫禄を感じ、そして安心して身を委ねられる。自身のハウスDJとしての積み上げてきたキャリアを無謀な冒険をすることなく余裕を持たせながらアルバムに落とし込もうという気概を感じる一枚。
  • Tracklist
      01. W Train (Intro) 02. W Train 03. Apres La Plage 04. Voyage 05. Dream Of Me 06. All I Want Is U 07. In Love 08. Dirty 09. Ça Scotche 10. Beats 11. Ficou Loco 12. En Route 13. Remember 14. Ballad A Anieres 15. M!am! W!ce (Outro)
RA