Developer - Archive 02

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  • この「Archive 02」のすごいところは、限られたたった少しの音数で実に多くのものを実現しているという事実こそにある。"Sangre Por Oro"および"From the Womb"の両トラック共に深く大きな、理屈抜きに直感を刺激する世界観を持ちながら、そこに覆い被さる幾ばくかの翳りがリスナーのイメージを幻惑的なものにさせる。"Sangre Por Oro"では軽やかかつ過激にフィルターを施されたシンセ・ラインがでこぼことしたトラックの表面を縦横になぞり、その下ではゆったりとした周期的な展開が続いていく。"From the Womb"ではループはより短いものになり、千人以上の修行僧たちが一斉にチャントしているようなサウンドが奏でられる。Developerというアーティストはトラック構造の奇抜さで知られているが、このトラックでもそこへ緻密なパーカッションを組み合わせることによって実にヒプノティックなグルーヴを実現してみせている。 "The Truth"もまた同様のアプローチのトラックではあるが、ここでは捩じれたエレクトリック・ピアノのスタブが沸き立つようなビーツの上に敷かれている。EP中で唯一毛色が違うトラックと言えば"Horns from the West"だろう。どこかRicardo Villalobosが創る/プレイするタイプのサウンドを連想させるというか、敢えて言えばワールドミュージック的なサウンドでありながらも実にクラブトラックらしい部分とヒプノティックさも持ち合わせている。4分半以上ものあいだ、強烈なブラス・ホーンがキックとハットの上に覆い被さりそこからさらに緻密にループされて絡み合っていく。Modularzいわく、この作品は「テクノの最もピュアなあり方そのもの」だそうだが、この作品の内容を考えればさもありなんといったところだろう。
RA