Telefon Tel Aviv - The Birds

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  • この"The Birds"は3年前に『Immolate Yourself』で披露されていた曲だが、しばらくの空白期間を経てようやくEPとしてリリースされる運びとなった。『Immolate Yourself』のリリース直前にはJoshua EustisにとってTelefon Tel AvivのパートナーであったCharlie Cooperが不慮の死を遂げている。今にして思えば、あの曲に含まれていたヴォーカル・リフレイン("The birds are humming / Of what remains" — 鳥たちがさえずる / そこに何が残る)がじわじわと時間をかけて立ち上るシューゲイズ調のシンセ・コードと朝ぼらけの弱い光のような鍵盤の旋律とともに乗る様は、いつになく不安をかき立てるものだったかもしれない。 このEPには新しく録音された曲はひとつも収録されていない。とはいえ、Charlie Cooper存命時にCocteau TwinsのギタリストであるRobin Guthrieとのコラボレーションのもと作られた"The Sky Is Black"(昨年リリースされたBPitch Controlのコンピレーション『Werkschau』にも収録済)はほとんど新曲みたいなものだと言っても良いかもしれない。ここでの注目は2人のリミキサーに委ねられた"The Birds"のリミックスであり、そのオリジナルが有していた幽玄なクオリティをさまざまな異なる角度から再構築している。まずMatthew Dearによるリミックスでは先述のヴォーカル・リフレインが引き延ばされ、バレアリック調のシャッフルと絡められてポロポロとつま弾くようなベースラインに導かれ、さらにMatthew Dear自身のヴォーカルも重ねられている。Ellen Allienによるリミックスはさらに好内容で、ぴったりとはまった303と跳ねながら渦を巻くようなベースラインによって実にスタイリッシュなハウスに仕立てられている。この作品を聴くとき、どうしても我々はTelefon Tel Avivというデュオ特有の背景に思いを寄せざるを得ないのだけれど、そうした一切を抜きにしてもこのEllen Allienによるリミックスはそれ単体として素晴らしい仕上がりだ。
RA