tobias. - Remixes

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  • 話題になるリリースというものは、その作品を誰が手掛けているかとか、そのトラックの内容自体であったりとか、それをリリースするレーベルがどこであったりするかがその話題性を形成する主な要因となる場合がほとんどだ。しかし、それらの要因すべてを兼ね備えた12インチは稀有だ。しかもそれがリミックスということになれば、それだけで話題になるリリースはめったにない。このレコードに関して言えば、そのオリジナルがTobias Freundの2011年リリースの大傑作アルバム『Leaning Over Backwards』からのカットであることからして話題性十分なのだが、それらのリミックスを手掛けるのがEfdemin、そしてRicardo Villalobos & Max Loderbauerというサウンドデザインの名手たちとあっては期待するなと言う方が無理な話だろう。しかも、このレコードをリリースするのがOstgut Tonによって新たに立ち上げられたホワイトレーベル部門である。これを手に入れない理由を見つける方が難しい。 Ostgut Tonによるホワイトレーベル部門、Untertonのファースト・リリースとして届けられたこの2つのリミックスだが、このシリーズには普段あまりOstgutと馴染みの無いアーティストたちにOstgutの過去作品をリミックスしてもらうという目的もあるようだ。"Leaning Over Backwards"のリミックスを手掛けたEfdeminは、オリジナルに潜む陰の部分にあえてフォーカスを当てている。Dialの屋台骨を支える彼らしいオブスキュアさを保ちつつ、Berghainの密集したフロアの奥底にもぴったりとハマるような仕事ぶりを見せている。圧倒的なトリッピーさとじわじわとした展開をキープしつつ、Ostgut / Berghainの初期の姿を思い起こさせる(『Panorama Bar 01』を思い出してみるといい)ムードが立ち上がってくるあたりも実に興味深い。"Girts"のリミックスを手掛けたVillalobos & Loderbauerコンビはそのパーツをいったん解体し、再構築した末に非常に奇妙なフォームに仕立て直している。こちらも当然文句のない仕上がりだと言えるが、そのリミキサー自身の個性を遺憾なく発揮しつつ、ダンスミュージック界における最も有名なクラブ/レーベル(つまりOstgut / Berghain)の個性との親和性を実現したという意味ではEfdeminに軍配をあげたいと思う。
RA