Method One - Symbol #5

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  • サンフランシスコ出身のMethod Oneはあまり馴染みのない名前かもしれないが、Method OneことJason Lederは20年近い間アメリカでアトモスフェリックなドラムンベース・シーンを先導し、そのDJキャリアのスタートも90年代に遡るというヴェテランだ。ASCが手掛ける実験的シリーズ、Symbolの最新作となる今作においてMethod Oneのトラックはドラムンベースのテンポを踏襲しつつ、彼のキャリアでは異例とも言えそうなほどの静かなる実験性と優美さが潜んでいる。 "Symbol #5.1"はここ最近のASCのリリース群からそう大きくは外れていないトラックで、穏やかにスイングするドラムと起伏のあるシンセがゴムのように伸びるベースラインの隙間でバウンスしている。Part 2はテクノっぽいスタブを取り入れ、より自己主張の強いトラックで、粘着質なベースラインが絡んでトラック全体が大きくうねっていくような印象を残す。いっぽう、Part 3ではあえてレイヤーを削り取り、ベースラインと流れるようなシンセのメロディが剥き出しになっている。Symbolシリーズらしいドラムンベースを崩したようなリズムが登場するのはPart 4で、ぶっきらぼうなシンセが咽ぶように鳴るあたりはまるでEnyaをdBridgeがリミックスしたかのような趣さえ感じさせる。このEPにおけるMethod Oneのプロダクションはとりたてて特徴的とは言えない部分もあるものの、少なくともドラムンベース界で最も信頼のおけるレーベルであるASCにふさわしいソリッドさは持ち合わせている。
RA