Various Artists - Diskotopia Volume One

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  • 東京都内在住のイギリス人Matt Lyne(プロデューサーA Taut Lineとして本作にも登場)と、アメリカ出身のDJ兼プロデューサーであるBrian Durrによって運営されているレーベル、Diskotopia。レーベル名からも伺えるように、ディスコを彷彿させるきらびやかでどことなく80年代のテイストを感じさせる空気感。その空気感に共感しつつ、ベース・ミュージックを通過した感性を持ち得たアーティストが集うコンピレーションアルバムが本作。ベース・ミュージック特有のマッシブな低音を楽しむよりは、ベース・ミュージックのリズム感を手法にしたホームリスニング寄りの内容となっている。ディスコやベースだけでなくブギー、チルウェイヴ、グライム、テクノ、ハウスなどの要素を取り入れた楽曲へと紆余曲折しながら、起承転結がはっきりした流れが組まれている。国内アーティストのであるDJ Maarや80Kidzのリミックスからは日本のクラブシーンのリスナーへのDiskotopia的なアプローチも伺えて、多角的な要素がふんだんに盛り込まれている。なんといってもアルバムのラストを飾るアメリカのベース・ミュージックシーンで活動を続けるStarkeyによるリミックスワークは、手練ならではの抑揚の効いた打ち込みのテクニックで、約1時間の輝きがハイレベルで昇華されジンワリとした余韻を創りだす。 気になった方は、まずは彼らのウェブサイトを開いてほしい。レーベルのアートディレクターであるShawなどによるスタイリッシュなジャケットが並んでいる。音源をパッケージングするウェブサイトのデザインを意識して、より良く見せようとするレーベルは日本では少ない。もちろんデザインだけでなく、bandcampなどの最新のウェブサービスを使いこなして音源配信している点もワールドクオリティと言えるだろう。そして日本語を駆使して音源のレビューを書いていることにも努力が伺える。「クラブミュージックには言葉は必要ない」とよくいわれがちだが、再生ボタンを押してもらうまでには入口となるレビューが必要となる。このアルバムには、言葉の壁を登って表現したいユートピアの世界観があるように感じた。都内から発信される国境を感じさせない、ウェブから発信される無国籍のユートピア。そしてこれからユートピアがどのようにして拡大していくのか気になるところ。
  • Tracklist
      01. BD1982 - Sunshine 02. Visionist - Tropics 03. Savage - I Want It All (BD1982 Refix) 04. RLP - Kreep 05. Optimum - Ghost House 06. Shy One - 40,000 07. A Taut Line - Clouds At Night 08. Hong Kong in the 60s - You Can Take A Heart (Diskotopia Dub) 09. Awa - She Sea 10. Greeen Linez - Sallot Ski 11. Bun / Fumitake Tamura - Ri 12. LDFD - Wumpa Fruit 13. DJ Maar - Acid Clapperz (Diskotopia Dub) 14. Greeen Linez - Feel The Pressure (The Phantom Remix) 15. Lamin Fofana - Nia Long 16. 80kidz - Miss Mars (Diskotopia Dub) 17. Greeen Linez - Feel The Pressure (Nites Remix) 18. BD1982 - VHS Nite (Starkey Remix)
RA