Brandt Brauer Frick - Mr. Machine (The Remixes)

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  • 昨年10月にリリースされたBrandt Brauer Frick Ensembleのアルバム『Mr. Machine』から2曲を収録した本作には、3つの新たなリミックス・ヴァージョンが加えられている。ベースボールキャップを被ったラフなスタイルでオールド・ディスコを再構築し薄汚れた地下や日差しの降り注ぐビーチに鳴り響かせるSoul Clapがまずは登場。一見するとBrandt Brauer Frick EnsembleとSoul Clapの組み合わせは意外なものにも見えるが、そのクラシカルな素材や弦楽器をうまく扱っている。Soul Clapが手掛けた"Pretend"のリミックスは驚くほど良い仕上がりだと言っていいだろう。オリジナルの緊張感あふれるムードをあえて回避し、このリミックスではどこか80年代的なサンセット・ジャムに仕立て直されている。一定のピッチをキープするスムーズなコードに彩られ、それが時折上昇するところが心地よい。こうしたフロウに挿入されるインタールードはそのムードを壊してしまいかねない危うさを孕んでいるが、Brandt Brauer Frick Ensembleの単音ピアノの反復や甲高いヴァイオリン、ゆっくりと浮き上がるチューバなどは見事な調和を見せている。 Horror Inc.ことAkufenは"Mi Corazon"をリミックス。やや大仰なオリジナルを削り取り、ウッディな響きの時計仕掛けのリズムに作り替えてみせているあたりにインタープレイの匠としてのAkufenの持ち味が見え隠れする。霧のようなホーンと神経質なピアノをタイトに編み込み、Akufenはオリジナルよりもさらにフォーカスされた堂々としたヴァージョンに仕立て直してみせている。Soul CrapやHorror Inc.ほどの完成度の高さはないものの、Dollkrautが手掛けた"Mi Corazon"のリミックスもなかなか興味深い仕上がりだ。サステインされたハモンドのコードと不穏なチューバをオリジナルのメトロノーム的メロディとミックスしたこのヴァージョンは非常に粋な仕上がりと言っていいだろう。
RA