Kyoka - iSH

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  • Raster-Notonは、90年代に生まれ、今はメインストリームからは外れてしまった他の「エクスペリメンタル傾向の強いレーベル」とは異なり、現在も普遍性を持ちつつリスクにも挑戦するという姿勢を保っているエネルギッシュなレーベルだ。そしてその普遍性とリスクは今回発表されたKyokaの”iSH”にも盛り込まれている。 Raster-Notonは様々なスタイルの作品をリリースしているが、”iSH”の一番の特徴について考えてみると、それはその親しみやすさにあることが理解できるだろう。このEPに収録されているトラックの中で傑出した出来を誇る”HADue”(オリジナルおよびAtomTMのリミックス)は両バージョンともに4つ打ちがしっかりと鳴っているフロア仕様なトラックだが、同時に非常に冒険的でもある。間違いなく両トラックともに「テクノ」だが、実験性も十分に含まれており、つんのめるようなパーカッションや汚れきったボーカルがループされ、お互いに重なり合っていく。そして大胆だが満足のいくクライマックスへ向かっていく様子は秀逸なクラブトラックとして表現できるだろう。また、"YESACLOUDui”、”23iSH”、そして”ROOMOne”は、よりレフトフィールドな色合いが濃くなっており、このEPを終焉へと導いている。この3曲はどれも強烈なシンコペーションを備えているが、伝統的な楽曲構成を保とうとしていないため、クラブ仕様である前述の2曲とは好対照をなしている。
RA