• Share
  • 現在の日本のクラブシーンには、一種の閉塞感があるように感じるが、若い世代が以前に比べ少なくなっているのが一つの原因と言えるだろう。そんな中、新たな可能性を見出せるようなパーティーも確かに存在している。   Yasuharu Imai氏と、彼と親しいDJたちが09年に立ち上げた「平家」というパーティーもそのひとつだろう。このパーティーは、展開の少ないフラットなハウスを信条に、国内の実力派DJをゲストに招き開催してきた。今回の「平家」は、久々の再開ということもあって、池尻のCave246に平家クルーが勢揃いしゲスト無しでの開催となった。 22時にオープンしたパーティーは、先ずレギュラー陣のB2Bからスタートし、0時頃からJunki Inoueが硬質なミニマリズムと遊び心を感じさせるレコードを中心にプレイ。二番手のKazuki Furumiは、場のテンションをキープしつつ緩やかにビルドアップ。その流れを汲んだDJ Gは、フロアの盛り上がりに応えるファンキーなセットを披露した。続くKei Onodaは、徐々にロウなグルーヴへとシフトするようなプレイで一層フロアをロック。終盤になると、Yasuharu Imaiはよりカラフルでハウシーな曲を中心としたプレイでパーティーを賑わせた。レギュラー陣各々のDJが終わると、そのままB2Bセットが再びスタート。フラットかつディープな音世界をひたすらキープする、パーティーの理念を音で表すようなセットが展開され、9時半頃にJunki Inoueが約12時間に渡るパーティーを締めくくった。 Daniel BellやJan Krueger、Yone-Koなどからの影響も感じさせつつ、自らの個性が確かに形成されていることを提示していた平家クルー。レギュラーDJ陣の年齢層は20代前半から30代であり、テクノ、ハウスシーンでは比較的若いが、しかし持ち込まれたレコードや、彼らのテクニックからは上の世代に勝るとも劣らない熱意が感じられた。彼らのDJで使われていたのは99%がヴァイナルであり、またUREIのロータリーミキサーを使いこなす様子からもそれが伺えた。 Cave246のアットホームでリラックスした雰囲気と、ストイックな出音のギャップも面白く、朝まで満足して楽しめるパーティーであった。この夜「平家」に集まっていた、パーティーと音楽を愛する若者たちによって、今後このシーンの閉塞感を打ち破ることができるのではと感じた。
RA