Eats Everything - Eats Everything

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  • ブリストル独特とも言える、ベースミュージックとハウスが融合したシーンの伝統を引き継ぐEats Everythingの最新作。今年初頭に彼がリリースした"Entrance Song"における、ありとあらゆるサンプルを片っ端から食いつくしながらスリージーで重心の低いベースミュージックはまさしく彼の持ち味を高らかに宣言した1枚であり、Dirtybirdというレーベルのカラーにぴったりとはまっていた。今回も、Mobyの"Porcelain"からサンプリングしたストリングスの断片があからさまにはめ込まれた"The Size"などのトラックではバウンシーきわまりないベースがトランポリンで遊ぶ子供のように跳ね回っている。丸ごと楽しさに溢れていて、非常に愛嬌のある感じはCatz 'N Dogzのアルバム『Escape from Zoo』にも通じるチャーミングさを持ち合わせている。 とはいえ、B面の"Whatever Whatever"はコード中心で若干毛色の違うムードだ。"whatever whatever…"とリフレインする女性ヴォイスも相まって、いかがわしさも含んだ多幸感が染み込んでいる。そのR&B的な軽さとは不釣り合いなほどに野太いボトムエンドが非常に魅力的だ。丸いビーツとキックは跳ね回りながらかすめ飛び、鞭打つようなスナップと安っぽいブリキのようなパーカッションと牽制し合っている。嫌いになるほうが難しいほどのにぎやかで愛嬌のあるチャーミングさに溢れたこの1枚はまさしくパーティを始めるのにふさわしいレコードだろう。
RA