Gonno - ACDise #2

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  • International FeelはこれまでDJ Harveyによる一連のリリースで注視を集めてきたが、ここにきて大胆なアプローチの転換を試みているようだ。より正確に言えば、ジャパニーズ・テクノへのアプローチである。"ACise #2"の液体的なグルーヴの美しさは、ちょっと他に例えようが無い。最初は、実際のテンポよりも速く感じられるような感覚があり、揺れるキックは泡立つようなパーカッションのアクセントに寄り添って進む。グルーヴはこぼれ落ちそうになりながらも2拍4拍のクラップによって彩りを添えられていく。エレクトロ的であると同時にハウス的でもある独特のテンションは、やがて心地よいコードと明るくかき鳴らされるアルペジオがメジャースケールで駆け上っていくところで見事に融合する。 このトラックを発掘しInternational FeelにプッシュしたのはまちがいなくGatto Frittoその人であろう。実際、このリリースはInternational FeelとGatto FrittoのレーベルFritto Mortoとの共同リリースとなっている。そもそも、Frittoが自ら手掛けたリミックス・ヴァージョンを聴けばどれほど彼がこのトラックに夢中になっているかが分かるというものだ。彼の手掛けたリミックスではドラムはより強調され、オリジナルの揺らぎをあえてフラットにならして16分基調のエレクトロ・パターンにはめ込んでいる。もしこのヴァージョンがオリジナルよりも派手に聴こえるとしたら、それはカラフルな音色で弾かれスローモーションでうねるシンセ・コードや中高域の展開を支える太いベースラインのおかげだろう。 Skudgeが手掛けた"Feels It Version" ではオリジナルの残像はほとんど見当たらない。Gonnoのオリジナルから引っ張ってきたと思われるバックグラウンド・コードの面影こそあれ、トラックの全体像としては非常にリニアでミニマルなアシッド・テクノであり、いかにもSkudgeらしいトラックだ。このトラック単体で見ればもちろん良いトラックではあるのだが、個人的には少々面食らってしまったのも確かだ。なぜなら、オリジナル・ヴァージョンが持つ驚くべき豊かさを考えれば、Skudgeがそれをどう解釈してこのようなヴァージョンに仕立ててしまったのかいささか不可解でもあるからだ。EPはGonno自身の"Turn to Light"で締めくくられるのだが、これはギターとシンセで彩られた優雅な揺らぎをたたえたトラックだ。どこかDurutti ColumnやStars of the Lidを彷彿させるところがあり、そこに少しStone Rosesっぽさを加えたような趣もある。「日本のテクノ」、そしてInternational Feelのバレアリック路線は安泰だと言えよう。
  • Tracklist
      A1 ACDise #2 A2 Turn The Light B1 ACDise #2 (Skudge Feels It Version) B2 ACDise #2 (Gatto Fritto Remix)
RA