Avalon Emerson - Whities 006

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  • Avalon EmersonによるWhitiesデビュー作のアートワークには青色、クリーム色、赤色でAmiga風の砂漠が描かれ、エキゾチックで未知ですらある印象を与えている。そしてその様子は音楽でも表現されているようだ。砂漠というのは得てして荒廃やうだるような暑さを思わせるものだが、「Whities 006」はアリゾナで育ったEmersonの過去に思いを馳せる作品になっている。 彼女のサウンドは愛らしいポートレートを描き出しているが、その表面下では砂粒と汗が渦巻いている。"The Frontier"ではベースが延々と駆け巡っている。それはまるでモハーヴェ砂漠を歩きながら感傷的なシンセのメロディを奏でているかのようだ。ビート上にはシェイカーが強烈に打ち込まれている。同トラックからリズムを取り除いた"High Desert Synthapella"バージョンは暗雲としたサウンドになっている。原曲ではベースラインが躍動感を生んでいたが、それがなくなることでEmersonのシンセが漂流し、散り散りに消滅していけるようになっている。この2曲はかけがえのない幼少期への憧憬を反映している。「Whities 006」は単に愛情がこもっているだけではなく、同時に郷愁も感じさせる。 "2000 Species Of Cacti"のリズムは、Kowtonが手掛けた傑作「Whities 002」のようにバウンシーで力強い。このトラックではジリジリと焼け付くシンセに対してドラムサウンドが歯切れよく打ち込まれ、その上方では流れ星のようにメロディが光り輝いている。その様子は「Whities 006」のテーマにしっかりと当てはまっており、アメリカ南西部の砂漠を無毛で無慈悲な大地としてではなく、驚きと喜びの源泉として喚起させる。
  • Tracklist
      A1 The Frontier B1 2000 Species Of Cacti B2 The Frontier (High Desert Synthapella)
RA