Unknown Artist - Grey Area Volume Two

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  • 一般通念に反するが、決まったテンポというものは存在しない。複数の速度が単一のBPM内に存在しているのだ。どのように聞くか、そして、どのように分割するか次第でテンポは変化する。例えばドラム&ベースのトラックのような、BPMが170のトラックを三連符に分割する場合、BPM128のトラックとスムーズにミックス可能になる。そんな試練を用意しているのがGrey Areaの2枚目だ。本作に収録されたムーディーにうねる4曲はハッキリと三連符で拍を打っており、クリエイティブでポリリズミックなミックスへの扉を開いている。この考えは少しドライに聞こえるかもしれない。しかし、今回の収録曲が担う機能的役割は本作を手掛けるレーベルの、すなわち、AuxiliaryとSamuraiのジャンルを横断する精神を体現している。 ここで重要なのはトラックそれぞれの個性ではなく、どのようにジャンルの横断を可能にしているかだ。A1の明瞭なハットや、A2のどっしりとしたキックによって、両トラックは非常に扱いやすくなっている。B2は上級者向きだが、最もミックスし甲斐のあるトラックでもある(ミックスするとどんなサウンドになるのか気になる人は、Grey Areaの最新ポッドキャストの7分頃をチェックしてみてほしい)。もちろん、正しく使わなければダンスフロアにトラウマを味わわせる可能性がある。しかし「Grey Area Volume Two」という試練に挑むことで一般的ではないリズムの在り方を知ることができるだろう。
  • Tracklist
      A1 1 A2 2 B1 3 B2 4
RA