YPY - Visions EP

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  • 大阪のKoshiro Hiroがテクノシーンにやって来たのは最近だが、以前からカセットテープレーベルbirdFriendを通じて実験的なエレクトロニックミュージックに携わってきた。彼が手掛けるbirdFriend諸作品(徐々にドローンやノイズに接近している)はダークでガタガタと騒がしいサウンドから、異質で踊れそうなサウンドまで、すべてを網羅している。そうしたサウンドを共通してまとめ上げているのは、Hinoのラフなタッチと突然変異したような音使いだ。しかし、これまでの作品がどんなに異端だったとしても、彼はNousから初となるリリースにて、軽々とその先を行く異端ぶりを発揮している。「Visions」は全体を通じてHinoの異質な性格を引き続き感じさせながら、まっすぐダンスフロアを目指している。 Aサイドのテクノトラック3曲はどんなセットでもトリッピーにしてしまいそうだ。しかも展開に従って、トラックはさらに素晴らしくなっていく。"Borei"ではシンコペートする強烈なサウンドが放り込まれ、Doobidoob"では不穏でインダストリアルな轟きがかき混ぜられてぬかるみのような状態に変化する。個人的には"Shadows"がスバ抜けている。その浮遊するシンセと意識が渦巻く深みには一瞬の輝きを放つダークな多幸感が眠っている。 Bサイドに移ろう。"Holy Goof"は小さな球体のようなサウンドが転がるテクノトラックだ。不気味に切り裂くサウンドが用いられているが、激しく盛り上げようとしている訳ではない。同じくラストトラック"Smog"でも、靄に包まれた無機的なシャッフルトラックがシンプルに提示されている。とはいえ、収録トラック5曲はどれも荒々しく、Hinoの奇妙なサウンドデザインが散りばめられているため、素晴らしく異質に仕上がっている。
  • Tracklist
      A1 Borei A2 Doobidoob A3 Shadows B1 Holy Goof B2 Smog feat. AKN
RA