Felix K - Tragedy Of The Commons

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  • Felix Kが2013年の傑作LP『Flowers Of Destruction』以来、初となるソロ作をBlackest Ever Blackからリリースする(この名義ではの話だが)。「Tragedy Of The Commons」はベルリンで長らく活動してきた彼の普段のスタイル(ディープでテッキーなドラム&ベース)から、さらに抑制したサウンドへと一歩外した動きを見せている。しかし、作品から溢れんばかりのディストピアなムードはファンにとっては馴染み深いはずだ。 17分に及ぶ"Tragedy Of The Commons"では、Felix Kが自身のアンビエント志向にどっぶりと浸りきっている。非常にゆっくりと静寂から立ち現れるトラックは、霧がかっていて内省的なアレンジだ。トラックが異なる空間を通り抜けていくにつれ、リバーブに浸したフィールドレコーディングと掻き乱される不安さ漂う空気が重ね合わされていく。少量ながらも重要なリズム素材も使われている。まずは悲痛なアルペジオ、そして鼓動するローエンドの三連符、最後に単発の柔らかなクリック音が鳴らされている。BサイドではBPM65のショートトラック"Silent Money"でテクノモードにじわじわと接近していく。控えめな3/4拍子のリズムと延々と続くベースラインがトラックを引っ張る一方で、ダブワイズされたボーカルと孤独なシンセサウンドがミックス上に浮かんでいる。 Onar Anxietyによる"Fundamentals"のリミックスではテンポが2倍になっている。このトラックはRegisを、特に彼がBlackest Ever Blackから発表した"Blood Witness"を彷彿とさせる。Onar AnxietyはもしかするとFelix Kの別名義なのだろうか? いずれにせよ、このディープで燃えるようなブロークンビーツテクノによって、敵対的な空気を醸す挑戦的なEPが締めくくられている。
  • Tracklist
      A1 Tragedy of the Commons B1 Silent Money B2 Fundamentals (Onar Anxiety Remix)
RA