The Hangout Project - Sword Of Light

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  • LowtecがEven Tuellと共に運営しているWorkshopからは、既存とは見事に異なるハウスが生み出されている。そして、昨年、彼がRAに提供したポッドキャストでは、静かで奇妙なダウンテンポトラックが紡がれていた。この2つの点を考えてみると、Lowtecは、既存の枠の外側で多彩なサウンドを展開するのが得意だということが分かる。The Hangout Projectという謎に満ちた名義で届けられたEP「Sword Of Light」は、彼から投げ込まれた最新の変化球だと言える。なぜなら、このEPは、90年代中期にLowtecによって設立されたOut To Lunchからのリリースだからだ。なんと、このレーベルから作品が発表されるのは、2005年のMarvin Dashとの傑作スプリット盤以来となる。 The Hangout Projectの正体が誰なのかはハッキリとはしていないが、「Sword Of Light」のサウンドは、Lowtecのそれそのものだ。おっと、もしかしたら「そのもの」ではないかもしれない。無重力空間のフットワーク実験とでも言えるタイトルトラック"Sword Of Light"は、Hyperdubから発表されたとしても同じようにしっくりとくるだろう。しかし、シンコペーションやBPM154という高速テンポにも関わらず、耳触りのいいコード、スペーシーなキーボード、トラックの半分を埋め尽くすイントロのアンビエントなど、細かな部分に耳を傾けるとハッキリとダウンテンポハウスの一面が聞こえてくる。さらに聞き馴染みがあるトラックになっているのが、"The Bomb"だ。気だるいコードと陽気なボーカルサンプルが、エンジン音のようなスローモーグルーヴに重ねられている。そして、テンポと言う意味でも、スタイルという意味でも、前述の2トラックの間に位置しているのが、"Transfer"だ。このトラックはいい塩梅にコズミックハウスの要素が含まれており、BPMはDJプレイに適した126となっている。シンコペートするキックドラムによって、軽やかではつらつとした感覚が生まれている。Out To Lunchが完全に復活したのか、単に1枚のEPをリリースしただけなのかは、想像に任せるしかないが、The Hangout Projectの作品がもっと発表されることを切に願う。
  • Tracklist
      A1 Sword Of Light B1 The Bomb B2 Transfer
RA