SOPHIE - LEMONADE / HARD

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  • 昨年"Bipp"(英語サイト)が発表されたとき、あまりにも狙いすぎな音楽だという印象を覚えたが、A.G. Cook、Hannah DiamondらPC Musicクルーの台頭により、SOPHIEの音楽が一連の流れにあることが分かる。「キュート」という言葉で括られたり、日本語の「カワイイ」という概念に沿った、子供っぽく、やり過ぎ感のあるポップな感覚がこれにあたる。「カワイイ」という概念については現在SOPHIEが一緒に仕事をしているきゃりーぱみゅぱみゅを参照して欲しい。 眩暈がするほどのラブ・ソング"Lemonade"は"Bipp"と同様のわたあめのような甘い素材から作られており、今回はそれをさらに油で揚げ、仕上げに砂糖をまぶしている。ハイピッチで「ca, ca, candy boys」とフレーズを歌い上げるボーカルや、ポップ・ロックのように泡立つシンセなど、この可愛らしく捻りを加えたダンス・トラックには多くのリスナーが拒否反応を示すに違いない。一方、カタカタと音を立てるドラムや主旋律を引き出すおもちゃのストリングスを用いた"Hard"は、Fisher Price(玩具メーカー)的グライム・チューンと言ったところか。用いられているベースラインはこうした小さな枠組の中では規格外の印象がある。Hannah Diamond風のボーカルが「platform shoes, kick so hard / ponytail, yank so hard / 厚底シューズ、目いっぱい蹴り上げる / ポニーテール、目いっぱい引っ張って」と歌うこのトラックを聞くと、「女の子らしい」UKダンス・ミュージックのパロディをやっているように感じる。 両曲共に短めのトラックだが、"Hard"では小刻みに震えるシンセ、"Lemonade"ではトランス風オーケストラ・ヒットなど、ちょっとした盛り上がりを見せる場面がある。終盤の部分だけでも1曲として成立しそうだが、SOPHIEにとっては、単なる展開の1つでしかないようだ。すぐに元の展開に戻ってしまうのにはがっかりだが、ポップ・ミュージックにとっては分かりやすく楽しめることが全てなのだ。
  • Tracklist
      01. Lemonade 02. Hard
RA