- 2008年に立ち上げられて以来、Egloはスタイルの多様性と一貫したクオリティというトリッキーなバランスを維持してきた。このレーベルにおけるこれまでの最良の瞬間を詰め込んだ『Eglo Records Vol 1』の内容がそれを何よりも雄弁に物語っている。
ヒップホップ、ソウル、ジャズ、アシッドハウス、メロディックなテクノなどを縦断するこのコンピレーションはロンドン在住のアーティストたちの密接な絆を浮き彫りにしている。そうしたハイライトの多くはやはりこのレーベル設立者であるSam ShepheardことFloating Pointsによるもので、"Vacuum Boogie"、"Marylin"、"Myrtle Avenue"そして"Shark Chase"といったトラック群はすべて活き活きとした存在感を放っている。しかし、比較的無名に近いアーティストたちによるトラックも負けず劣らず魅力的だ。Fatima流のGeorge Clinton的スペース・ファンクへのトリビュート"Soul Glo"はやはり楽しいトラックだし、Funkinevenによるアシッド習作"Heart Pound"もまた愛さずにはいられない問答無用のエナジーに満ちている。いっぽう、Egloは自由なスタイルを尊重するレーベル・カラーではあるが、いくつか生真面目すぎるジャズ的トラックがあるのもたしかで、簡単には枠に収まらないサウンドではあるもののある種退屈な印象も否めない。
このコンピのために新しく収録されたトラックは強力だ。"Wires"はFloating Pointsにとって自信に満ちた前進を窺わせ、11分間にわたって生楽器のアンサンブルがソウル仕立てのヒップホップとコズミック・ジャズを紡ぎあわせている。Fatima "Visit You"もまた強力なトラックだ。言うなればこれは最良のモダンR&Bであり、引き締まったプロダクションが彼女の甘いヴォーカルを見事に際立たせている。これはこのスウェーデン生まれのシンガーのまもなくリリースされる予定のアルバムへの絶好の布石となるだろう。Egloのファンにとってはこの『Eglo Records Vol.1』が優れた内容であることはまったく予想通りだろうが、初めてこのレーベルのサウンドに触れるリスナーにとっては、このUKで最もエキサイティングなエレクトロニック・ミュージック・レーベルを知るためには絶好の入り口となるはずだ。
TracklistCD1
01. Floating Points - Radiality
02. Floating Points - Vacuum Boogie
03. Funkineven feat. Fatima - Kleer
04. Shuanise - Catch
05. Fatima - Soul Glo
06. Funkineven - She's Acid
07. Floating Points - Shark Chase
08. Arp.101 - Dead Leaf
09. Funkineven - Heart Pound
10. Arp.101 - Flush
11. Mizz Beats - Sanctuary
CD2
01. Fatima feat. Floating Points - Innervisions
02. Floating Points - Sais (Dub)
03. Floating Points - Marylin
04. Funkineven - Roland's Jam
05. Floating Points - Danger
06. Arp.101 - U
07. Mizz Beats - Scientific Brainpriest
08. Floating Points - Myrtle Avenue
09. Fatima - Visit You
10. Floating Points Ensemble - Wires
11. Shuanise - Mercy
12. GB Presents The Abstract Eye - Reflexes