- エチオピアのエレクトロニックミュージックのヒーローによる、謙虚ながらも熱狂的な反戦ミックス
- Endeguena Muluは自身のRA Podcastに、“war is a racket（戦争は闇商売）”というサブタイトルをつけた。提出締め切りの数日前、彼の母国エチオピアの政府が北部の半自治区ティグライに軍隊を派遣し内戦状態に突入 、政府が6ヶ月間の非常事態制限と立法府の無効化を発表したことを受け、彼はミックスを破棄して作り直した。同地域では通信手段が遮断され、人々は難民として国境を越えて脱出し始めており、東アフリカに位置するこの国での民族間の緊張の歴史における新たな火種となっている。
Muluの新作ミックスにはテーマと目的がある。Muluが先駆けとなったエチオピアウィ・エレクトロニックに加え、Digital Mystikzのクラシックダブステップ・アンセム“Anti-War Dub”、KGによるUKファンキー・フュージョン、そしてアフリカ各地の著名人や指導者の熱狂的なスピーチを使用しており、反抗的で、哀愁と希望に満ちた内容となっている。彼のライヴセットのようにAbletonを使用し即興で制作したこのミックスは、サンプルを取り入れることによって機能的というよりもエモーショナルなセットとなっており、重く、時に高揚感のある感情から、また次の感情へとあなたを導いていく。
このミックスを取り巻く特殊な環境は、Muluの長く素晴らしい業績を損なうものではない。彼は、特定のサウンドを持たないが、ある使命を持つハイブリッドなエレクトロニックミュージック、エチオピアウィ・エレクトロニックのオリジネーターだ。それは、数千年の歴史を持つ楽器から20世紀のエチオピアン・ジャズの遺産まで、エチオピアの信じられないほど豊かで多様な伝統から新しい音楽を創造するというミッションである。必ずしもエレクトロニックである必要さえなく、1432 RやWarpのオフシュートArcolaから発表しているMuloのEthiopian Records名義による作品は、変化し続け、そして刺激的だ。彼はエチオピアのエレクトロニックミュージックを牽引しているだけでなく、より広い、世界的なコンテクストで見ても重要でユニークなアーティストなのだ。
政争と新型コロナウイルスのパンデミックの最中に帰国したMuluは、エチオピアの首都アディスアベバで、パンデミックが起きる直前まで準備を進めていた自身のレーベル兼クリエイティブエージェンシーであるWAG Entertainment Agencyのオフシュートとして、アーティストのためのクリエイティブスペースGodjaを立ち上げようとしており、間もなくリリース予定のダブルEP「WEL」で、その資金を調達中だ。彼は「WEL」を、「喜びと愛に満ちた、世界的な革命への呼びかけ」と表現しているが、それは心を揺さぶり、時にメランコリックな彼のRA Podcastにも反映されている。
TracklistTsegaye Gebremedhin - WEL (Ethiopian Records Remix)
Dawit Cherenet - Ye Abay Lij (Live Edit)
Digital Mystikz - Anti War Dub (James Blake Remix)
Digital Mystikz - Anti War Dub
Eyorr (featuring Micki Mac) - Hagerun Geleba
Asge Dendasho - Moro (Ethiopian Records Remix)
KG - Kele
Yohannes Yilma - Pulsy
Ethiopian Records - Kwame Nkurmah African Unity (Live)
Eshi the Free - Same Same (Live Edit)
Nerliv - WezWez
Hachalu Hundessa - Maalan Jira (Live Edit)
Ethiopian Records - Embi
Jamaica Mnanda - Masikini Naye Mtu (The Poor are Also People)
b!polAr - BIPOLAR
Photo credit: Tsion Haileselassie
This article was updated on November 16th with more information about the conflict in Ethiopia.