- UKの人気アーティストによるクラシックハウスとレフトフィールドなエレクトロニクスの融合
- 過去14年間、Nathan Fakeの音楽には重要な筋道があった。2003年発表の彼のファーストシングル「Outhouse」から、彼のデビューアルバム『Drowing In A Sea Of Love』、2015年のシングル「Glaive」までの流れを辿ると、多くの部分には同じような斬新さと楽観さを感じる。しかし、ここにきて何かが変わったようだ。Fakeは昨年末、Prurient名義やVatican Shadow名義の凶暴なサウンドで知られる多産なノイズアーティスト、Dominick Fernowとのコラボレーションを発表し、周囲を驚かせた。“DEGREELESSNESS”は、Fakeにとって4作目のフルレングスであり、彼の更なる方向転換を示す作品『Providence』の最初の収録曲となった。このコンテクストにおいて最も重要なのは、Fakeがここ数年間スランプに陥っていたという事実。絶えずツアーを行っていた彼がようやく楽曲制作の時間を見つけた時、何も浮かんでこなかったのだという。彼のクリエイティビティの復活からくる安心感は、今週Ninja Tuneからリリースされる『Providence』の中で明らかに感じられる。「まるで生き返ったような気分だった」と、Fakeはコメントしている。収録曲には、より鋭く差し迫った何かがあり、それはアーティストがアイディアが消えてしまわないうちに急いで閉じ込めようとしたサウンドなのだろう。Fakeのトレードマークである、舞い上がるメロディーとフリーフォームのアレンジメントは健在だが、作品全体の雰囲気は辛辣であり、甘くはない。しかし、このアルバムはギアチェンジ的な作品ではあるが、Fakeがそれまで前進してこなかったというわけでは決してない。Border Communityからリリースしてきた独特の作品や、数えきれない程行ってきたライブショウを通し、彼は唯一無二の音楽を築き上げ、我々がかつて“エレクトロニカ”と呼んでいたシーンにおいて最も人気と尊敬を集めるアーティストの1人となったのだ。
Fakeは少し謎めかしながら、彼のRAポッドキャストは「誰かの為に録音したミックステープ」であると説明した。我々には、その誰かがクラシックハウスとIDM的要素のあるトラックのファンだということしか推測できない。ミックス中盤のAphex TwinからOmar-Sという流れが、それを要約している。
TracklistMi Ami - Sunrise
Vatican Shadow - More Of The Same (Tunisia)
Samo DJ - Lkf
Optic Nerve - At Twilight
Avus - Wfc
I-Liner - S-Bahn
Orbital - The Moebius
Minor Science - Underipe
Greg Beato - Haunting
Aphex Twin - Saw2 Original
Omar S - Here's Your Trance Now Dance
Santiago Salazar - Arcade
Steven Julien - Kingdom
Armando - Confusion's Revenge
Orbital - Lush 3
Nf - Klea In A Minor
Benge - Fairlight Cmi