RA.532 Marquis Hawkes

  • Published
    Aug 8, 2016
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    155 MB
  • Length
    01:07:45
  • ハウスとテクノの祝祭
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  • Mark Hawkinsには様々なタイプのファンがいるのではないだろうか? 2000年代前半から後半にかけて、タフでジャッキンなテクノを買っていた人であれば、オランダを象徴するレーベルDjax-UpBeatsの他、多くのレーベルに提供された彼の12インチを手にしたことがあるかもしれない。Hawkinsはゲットーハウスの影響を落とし込んだテンポの速い熾烈なトラックによって急進的なテクノを模索していたが、最近では、Juxta Position名義で暗鬱とした作品を発表するようになっている。この名義でのリリースは2013年から3枚のみで決して多作とは言えないが、DVS1のMistress Recordingsから発表された「Juxta Position Vol.1」を筆頭に、その音楽は人々に衝撃を与えてきた。###として彼を知っている人もいるかもしれない。###は00年代後半にミニマルな作品を数枚リリースするときに使われた名義だ。 そしてもちろん、Marquis Hawkes名義も忘れてはいけない。彼が最も認知されているのはこの名義によるものだろう。Marquis HawkesはHawkinsがクラシックなハウスの原型を解釈して提示するための名義だ。2012年から続く同名義のリリースにおいて彼が敬意を示してきたのは、シカゴ、ニューヨーク、ニュージャージーのサウンドだ。Dixon Avenue Basement Jams、Clone、Aus Music、Crème Organizationなど、高い評価を集めるレーベルが彼のトラックをリリースしてきた他、fabricが運営するレーベルHoundstoothとの継続的な関係の末に、『Social Housing』(英語サイト)が先日発表された(以下のインタビューでHawkinsは、同作が再燃させることにもなった模倣に関する物議についてコメントしている)。『Social Housing』でフィーチャーされたのは、Hawkinsのキャリアの中でも特に明るく祝祭的な音楽であり、そのアプローチはアルバムフォーマットに挑むにあたって功を奏していた。 この時と同じムードがHawkinsによる今回のRA podcastを彩っている。RA.532は所々でダークな場面を迎えるが、大部分において、窓を開放して夏の暑い日を楽しんでいるようなミックスとなっており、Romanthony、Floorplan、Moodymann、そして、Hawkins自身のトラックがすべからくフィーチャーされている。 近況報告をお願いします 毎週のようにDJしているし、インスピレーションを感じたときにはいつでも音楽を制作している。インスピレーションを感じることが多いんだ。そうした活動の合間を縫って、家族と過ごす時間をできるだけ多く作るようにしている。 今回の制作環境を教えて下さい 今回のミックスをレコーディングするときにエクスクルーシブだったトラックを数曲含めたいと思っていたから、CDJを使ってミックスを作らなければならなかった。僕はCDJを持っていなかったから、ミックスを仕上げるために2台のCDJを借りて、ループ機能やホットキューみたいな複雑な操作に慣れるために数日練習することにしたんだ。 CDJのテクノロジーが持つ可能性には目を見張るものがあったよ。ターンテーブルとは違う使い方でCDJを使うようになった。今回のミックス制作には数テイクかかるだろうと思ったんだけど、一発でばっちりキメることができて、エディットする必要が無かった。ベルリンのマルツァーンにある自分のスタジオでレコーディングしたよ。 ミックスのコンセプトについて教えて下さい 自分がDJしているときのサウンドがどんなものかを伝えられるミックスを作りたかった。特に僕が大きなイベントでプレイしているときのサウンドをね。それと同時に、夜遊びへ出掛ける前に友達と一緒に自宅で支度しながらハイになって聞いても最高なミックスにしたいと思っていた。 Marquis Hawkes名義によるファーストアルバムの『Social Housing』(公営住宅)というタイトルは、自分が置かれているベルリンの生活環境のことを言っているらしいですね。そのことは作品全体のトーンに影響を与えたんでしょうか? 作品の大部分はかなり楽しげな内容でしたよね 公営住宅が楽しい雰囲気だと変かな? タイトルを付けたのは音楽が完成してからだけど、周囲の環境が自分の活動に影響を与えることからは誰も逃れられないよ。僕が住んでいる場所はベルリンでも特に失業率が高い場所なんだ。そして、ベルリンはドイツ全体の中でも特に失業率が高い。でもこの場所で起こる社会問題は、僕が90年代初期にブリクストンで不法滞在中に体験したクソみたいなことと比べればどうってことはない。当時は刺されそうになったことがあるし、ハックニーに住んでいた00年代初期は、ATMで銃を撃っていた人がいた。この違いの理由は何よりもドイツ政府の社会政策にあると思う。政策は完ぺきとは言えない。エレベーターはよく小便の臭いがするし、故障しているときもあるけど、少なくとも襲い掛かられる心配をせずに通りを歩くことができる。だから、アルバムに楽しげな雰囲気があったのは、僕が住んでいる場所のポジティブな一面が反映されているんだと思う。でも、ネガティブなことも少しながら反映されているメランコリックな場面もあるよ。 少し前にあなたの音楽を通じてアイデンティティと模倣に関する議論が浮かび上がりましたが、このアルバムはその議論を再燃させました。この点についてあなたの意見を聞かせてください。 僕に会ったことがなくて、僕のことを何も知らない人の思い込みには驚かされるよ。アメリカの文化基準で世界のすべてを判断するような、軽蔑的な議論もいくつか挙がっていたと思う。全世界がアメリカと文化的に同じではないことなんてすっかり忘れたかのようにね。さらに言えば、Marquis Hawkesと聞いてアフリカ系アメリカ人だと決めつけるような、文化的固定観念のショッキングなケースもありうると思うよ。僕の名字やアーティスト名義と同じ黒人男性はきっといるだろうからね。 結局それって、自分の言っていることすべてが人種差別的だと気づきもしないし、文化的固定観念が正しいと思っている人には、潜在的な人種差別意識が存在していることを表しているんだと思う。それに、文化的固定観念を信じるうちに、ますます強く正しいと思うようになる。例えば、黒人には特定の名前しかないと思ってしまうことだ。それってものすごく弾圧的だよ。僕がこれまでにやってきたどんなことよりもね。最初のレコード「Cabrini Green」は、そのタイトルのせいでどんなリアクションが発生するのかなんて全く考えないまま、自分に影響を与えたシカゴサウンドを取り入れたり、Dance Maniaみたいなトラックもののレーベルをサポートしたり、そういったレコードが大きく無視されていた90年代後半~00年代にDJでプレイしたりしていた。 なにより、1枚目のレコードが300枚以上売れるだなんて思ってもみなかった。あのリリースをあたかも大物になろうとしているみたいに何もかもをマーケティング戦略的に計画されたものだなんて言う人は、本当に馬鹿げている。そして、それを真に受けている人には、物事がどうなっているのかなんて知る由もない。これは、自分の知っている情報だけで判断して誤った認識をしてしまう例だ。もともと僕は正体を隠していたんだ。本名で30枚を超えるリリースをしていたからね。そこから僕の音楽スタイルは大きく変わっていたし、本名のリリースからみんなの抱くイメージをかき消さないといけなかった。そうしないと300枚のレコードをプレスしても金の無駄使いになっていたよ。 ああいう問題提起をする人の中にも称えるべき人はいる。金では買えないプロモーションという意味でね。あの議論で僕のことを耳にしたという人がたくさんいて、そういう人が僕の音楽を聞いて気に入ってくれたんだ。一連の騒動について「俺は黒人で、この音楽が好きなんだけど、意見があれば教えてください」っていうコメントしている人がいて最高だった。このコメントはすべてを見事にまとめ上げていると思う。知識のある白人が振り返って、黒人にとって何が失礼なのかを決めるだなんて、あまりにも上から目線だ。ここにも、潜在的な人種差別意識が浮かび上がっているんだ。 今後の予定は? 秋にAusから出す新しいEPの準備が完了したところだ。CloneやDABJ、そしてもちろん、Houndstoothからの新作に向けてもトラックを仕上げていくよ。それにいつも通り、ツアーもするよ。
  • Tracklist
      Alesya Myers - I Want To Thank You (Earl's BOOM Edit) Floorplan - Tell You No Lie - M-Plant Hawkes And Blake - Flip A Coin - Aus Music LOOD - Shout-N-Out (The DJ Dub) - MAW Records DJ Sneak & Armand Van Helden ?- Hardsteppin Disko Selection - ZYX Music Liem - If Only - Lehult Romanthony - Trust (Ghost Mix) - Downtown 161 Greg Beato - Dreamin - Apron Records Moodymann - Dem Young Sconies - Planet E Ron Carroll - A New Day (Underground Mix) - Af-Ryth-Mix Sounds Floorplan - Music - M-Plant Jeff Mills - Gift Of The Hills - Purpose Maker Jun Kitamura - Outergaze - EFD Classics Marquis Hawkes feat. Jocelyn Brown - I'm So Glad (12" Satisfied Mix) - Houndstooth Marquis Hawkes - Outta This Hood - Clone Jack For Daze Paranoid London Feat. Mulato Pintado - Eating Glue - Paranoid London Records Breach & Midland - Somewhere - Naked Naked Marquis Hawkes - Sealion Woman - Dixon Avenue Basement Jams Underground Resistance - Timeline - Underground Resistance
RA