RA.506 Sunil Sharpe

  • Published
    Feb 8, 2016
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    01:11:35
  • アイルランド屈指のDJが登場
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  • ハウス、テクノ、トランスなどなんであれ、アイルランドでダンスミュージックに興味がある人なら、Sunil Sharpeのことを知っている確率は高い。そして、すでに彼のファンである可能性も高いだろう。Sharpeがこういった幅広い魅力を持っているDJである理由は恐らく2つあげられる。まず、彼が素晴らしいテクノDJであるという事実。彼はDJのお手本といえる技術の持ち主であり、ターンテーブルからレコードを引き剥がしては、電光石火のごとく曲を切り替えていく彼のプレイは、目を見張るほど刺激的。そして選曲はとてつもなく幅広い。ダブリンのクラバーの間で人気のDave Clarke、Surgeon、BlawanといったDJたちが街にやってくるときは、共演に選ばれるのは長年Sharpeであった。 ふたつめの理由は、Sharpeがいかに包容的かつ積極的にシーンに関わっているかという点かもしれない。例えば、彼は最近Quarterly Crateというビデオシリーズをスタートし、毎回1時間ほどに渡ってお気に入りの新作ヴァイナル・リリースについて、台本なしでフリートークをしている動画を配信しているが、その語り口調からも、ただ純粋に音楽をシェアすることを心から好む人であることが伝わってくる。そしてダブリンではDJテクニックの1年コースで教師もやっており、新世代のDJの成長をサポートしている。アイルランド外では、リリースする作品の質の高さで最近特に注目を集めるようになってきた。彼がWorks The Long Nights、Brothers、Transmat、そして自身のOn The Hoofといったレーベルでリリースしてきた楽曲を聞けばわかるが、作品作りにおいて彼は絶え間なく変化する過激なテクノに傾倒する傾向があり、その歪んだサウンド・デザインと衝撃の強いアレンジメントは、暴動にサウンドトラックを与えているかのような曲作りをしている彼とDeFeKTとのユニット、Tin Foil名義の楽曲にて特に特徴的である。 2014年のBoiler Roomでのインタビューにて、Sharpeは元来テクノにはファンク感と実験精神が必須であったと語っていた。彼自身が、そういった精神を表現しているとはっきり言ったわけではないが、シンコペーションのグルーヴと、エキサイティングなプロダクションが自由に浮遊する今回のRAポッドキャストでは、中核にあるテーマだと言える。今年のBloc. festivalに行く予定なら、Sharpeは見逃せない出演者のひとりだ。 まずは近況報告をお願いします 最近沢山の楽曲を仕上げていた。Shipwrecと、UmweltのRave Or Dieからリリースが決まったばかりで、とてもワクワクしている。大量とまではいかないが、今年なかなか沢山のリリースをすることができそうだ。On The Hoofからの作品を皮切りに、いくつかのレーベルから出す予定だ。DeFeKTとのTinfoil名義の初ライブがダブリンとアムステルダムにてもうすぐあるから、その練習もしていた。 ミックスの制作環境を教えて下さい 11月の始まりに2台のターンテーブルとミキサーを使って自宅でやった。いつもスタジオでミックスを録るときそうやってるように、レコードをスリーヴから出して並べて、すぐに切り替えられるように準備しておいた。 ミックスのコンセプトについて教えて下さい 可能な限り綺麗に繋げて、スムーズで自由なミックスを目指していた。選曲は25年以上の期間に及ぶ、幅広いサウンドをカバーしていると思う。たいていスタジオでミックスするときは事前にちょっと時間をとってレコードを選んで、何が相性が良いか考えてからやっているが、このミックスはいままで以上に時間をかけたんだ。4、5週間かけて、時間があるときに考えて自然とトラックリストを構築していった。これいいかも、と思ったレコードを一箇所に置く、ということを45枚〜50枚集まるまでやっていたんだ。それから曲の組み合わせをチェックして、ミックスするときに余分なものを切り落とした。だから、初期トランスの曲を2、3曲かけるのではなくて1曲になったり、エレクトロの割合が減ったりといった調整があった。最近は新作テクノばかりかけているんだが、このミックスはレコードショップに働いていた時代なんかを反映していて、だから2000年代の曲が多めなんだ。 ダブリンではDJのトレーニングや授業を行っているらしいですね。コースについて教えて下さい 2005年以来Bray Institute Of Further Educationで教えてきた。私が知る限りではアイルランドで唯一の、年間フルタイムのDJコースだ。生徒は18歳から21歳が多いが、様々な年齢層のひとがいて、数年前には52歳のひとがいた。あと関連モジュールもカバーするから、DJ技術だけにとどまらないんだが、DJテクニックがメインとなっている。私の役目としては、これまでついてしまったかもしれない悪いクセをなくし、ユニークなスキルを習得するのを手伝い、クラブで最低限プレイできる基本的なレベルまで彼らを持っていくことだ。自分の経験を用いて、してはいけないことや避けるべきことを教えている。中にはすでにとても上手い人もいるんだが、彼らに違ったやり方も提示してあげつつ、すぐにキャリアをスタートできるようガイドしているつもりだ。そしてアイルランドである程度知名度のある人をゲストに呼んだりもする。 DJはパーソナルなスキルだから、なるべくひとつのやり方を押し付けないようにしている(しかしピッチがあってないのにやたらプラッターを押す人がいたら注意するけどね)。例えばカッティングだったら、クロスフェーダーでもラインフェーダーでもラインスイッチでもできるから、それはDJによって様々だ。それをDJたちが自分のものにしていくのを見るのが楽しい。それは選曲と同じくらい、ライブDJのエッセンスだと思う。あまりにも多くの人やメディアが選曲にちょっと重点を置きすぎていると私は感じる。バラエティとオリジナリティのある選曲はもちろん大事だが、もうちょっと実際の技術にも集中するべきだと思う。一晩中Discogsで買い物をし、ボリビアのポスト・パンクのレア曲を掘っているDJもいれば、その間スクラッチの精度を上げようと、あるいは他の人がやっていないミックスの仕方を編み出そうと練習しているDJもいることを思い出そう。間違いなく、ディープなディグをしているDJを応援するが、DJとはそれだけではないということを主張したい。 過去にあなたはグローバル・テクノ・シーンの現状について雄弁に語っていました。現在、あなたの目にはどう写っていますか? 今テクノ・シーンは良い状態だと思うが、バラエティがなくなりつまらない人が増えて一時期は死んでいた。ひとつ重要な点としてあげられるのは、Berghainだ。全てがBerghainによるとは言えないが、Berghainがなくなったらシーンは随分違うことになってるだろうね。他の国のクラブやシーンもここ数年で随分成長したと思うし、オランダなど国によってはしっかりとしたインフラが出来上がっていると感じる。例えばDoornroosjeは素晴らしいクラブだと思っていたが、政府が建設の資金を出したと聞いたら余計すごいと思ったよ。 テクノ・ミュージックに関しては、長いこと同じことの繰り返し状態になっていると思う。まだまだ沢山Jeff MillsやRegis/Sandwellにそっくりな作品は出ている(俺みたいなアホが買い続けている)が、探せば宝もどんどん出ていることが解る。Blawanにあこがれてテクノに入った人も多いし、今でも彼の影響は見受けられる。良い作品は常に出ているが、私はテクノはもっと多様で、変なものであってもいいと思っている理想主義なんだ。しかしとにかく、シーンはまたビッグになっているし、オーディエンスも多いし、レコードも売れている。テクノで新しいスタイルを打ち出すとしてら今は良い時期だと思うね。そういうアーティストもいるはいるが、ビッグや流行ってるレーベルにピックアップされないとなかなか注目されにくい。面白い時代になったとは思うよ。今やDJだけでなくコレクターやカジュアル・ファンもテクノのレコードを買っているんだ。だからプロデューサーはもっと遠いところまで自身のサウンドをプッシュしてもいいと感じていいと思うね。 今後の予定は? 沢山ギグをやる予定で今年が楽しみだ。Tinfoilとソロの作品だけじゃなくて、Faetchとも制作をやるようになっていて、もうすぐ何か出せるだろうと思う。あと次のEarwiggleの作品も準備しているんだ。今月はSleeparchiveリミックスが入ったOliver RosemannのEPが出る予定で、その次はFaetchのレコード、それから3、4枚は年内に出せるかと思う。あとEarwiggleのイベントも近々開催する予定だ。 個人的なプランとしては、もっとDJと楽曲制作において自分をプッシュすることだ。昔やっていた曲を久しぶりに聞いてみたら、今考えているものよりも良いアイディアとかがあった。例えば2004年のトラックを見つけたんだが、ミックスをやり直せばリリースできるレベルだと感じた。あまりクラブ・ミュージックとかプロダクションの過程に左右されていない自由があったんだ。今年そのころの気持ちを思い出して、もっと質の高いものが作れたらいいと思ってる。とにかく、今回誘ってくれてありがとう。ミックスを楽しんでもらえたら幸いだ。
  • Tracklist
      Speedy J - Something For Your Mind (Speedy J remix) - Plus 8 Robert Owens - Your Mind (Passion) Mix 1 G-Man - Mars - Swim ~ Vernon Felicity - Flying Saucer - Clone Store Only Series SP-X - SP-14 - Komisch Pacou - Departure - Cache Records James Ruskin - Solex - Blueprint A&S - Xenix - Mistress Recordings DJ Deeon - Let It Be House - Universal Funk Sosak - Bernie - Overlee Assembly Geeeman - Wanna Go Bang (Alden Tyrell Instrumental) - Aus Music Joseph Garber - Interstate Cowboy - Solid Limbertimbre - AABA (Justin Maxwell remix) - Pretension Adapta - Future - Brutalist Sunset Decal - Age Of Biting Back - Rotters Golf Club MANASYt - Space Coffin - MNX Recordings Ancient Methods - Fourth Method (B1) - Ancient Methods John + Julie - Double Happiness (Bonus Beats) - XL Recordings Autonation - Sit On The Bass (Jerome Hill remix) - Don't Unspecified Enemies - Liquid Floor - Numbers DJ Shufflemaster - Electronique Dweller (Cari Lekebusch remix) - Subvoice The House Of Fix feat. Circa - USA Pliance/Clipt Wings (Jason Leach remix) - Tresor Dean Cole - Under The Influence - Corrosion DJ Pete - Latifah (Dub Cut) - Counterbalance Vice - Peace Out - 430 West Major Problems - Manslaughter (First Degree mix) - Nu Groove Abstract Thought - Galactic Rotation - Kombination Research Bomb The Bass - 10 Seconds To Terminate - Rhythm King DJ Hell - Taurin-Energie - Disko B Hyperspace - Europa (Deep In Frankfurt) - TeC Neil Landstrumm - Boca Nueva - De:tuned Szare - Weird Sister - Frozen Border Razor X Productions - Killing Sound (Problem Version) - Rephlex Kiko - Monique (David Carretta remix) – GoodLife/PIAS
RA