- デトロイト・テクノの重鎮が自身の二面性を披露
- 『The Electrifying Mojo』を聴いて育ち、The Music Instituteの初期テクノ・パーティーに足を運び、高速で未来的なDJ/プロデュース・スタイルを身につけたEric Dulanは、デトロイトの真髄を体現するテクノ・アーティストだ。だが同時に、他のモーター・シティの同志たちと同様に、独自の道を切り開いてきた。彼のトラックも(カラフルでありながら実用的)、DJセットも(たいてい3台から5台のタンテを使用した騒がしいもの)、聴けばDJ Boneだと解る。そして何よりも驚きなのが、20年間活動を重ねてきたDulanの勢いはまったく衰えていない所だ。現在も精力的に活動しており、最近ではDon't Be Afraid、Leftroomそして自身のSubject Detroitといったレーベルから新作を出している。
DulanのDon’t Be Afraidからの最新のリリースは、彼の新しいDiffer-Ent名義のデビュー作である。Dulanはこの別名義の作風を「よりアグレッシヴで、がっちりとして、よりダーク」だと表現している。今回のRA. 452で、Dulanは2つの自分を対決させており、暖かく、ハードでありながら、個性に溢れるミックスを届けてくれた。
近況報告をお願いします
1月はDJギグを断って、スタジオの強化と制作に時間を使っているんだ。今は主にDance Tracks用やDiffer-Entとしてのデビューアルバム用のトラックを制作している。ここ最近この名義に力を注いでいるんだ。Differ-Entとしての1st EPをとても勇敢なDBAがあと数日後にリリースしてくれるから、とても楽しみだ。
ミックスの制作環境を教えてください
これはSubject Detroit HeadquartersのB studioで録音したんだ。最近はミックスを作る用に新しくスタジオルームを改造した。特種な照明とか音響設備を整えて、集中しやすい部屋にした。今回は3台のTechnics 1200と2台のPioneer CDJを使用した。
ミックスのコンセプトを教えてください
最初はストレートでファンキーなヴァイブス(DJ Boneスタイル)で始めて、メロディーが入ったり抜けたりを繰り返し、ダンサブルでありながらソウルやエモーションをキープした。その後、よりアグレッシヴで、がっちりとした、よりダークなサウンド(Differ-Ent)へと移行した。3台のタンテを使用したのは主に後半でのミックスだった。
BoneとDiffer-Entという2つの名義の違いはどういう所にありますか?
(これは第三者の目線で説明させてもらうよ)DJ Boneはスキルとヴァイブス、この2つを重視している。エフェクトやSyncも彼自身のスキルには勝てないと信じており、セットを事前に組み立てておくことはしない。DJ Boneはかけるべき音をかけるべき時にかけることで、スペシャルな空間を演出することを自身の役割として捉えている。
Differ-Entは双子座であるBoneのもう1つの一面だ。Differ-Entはデトロイト・テクノの孤児だ。ダークで、アグレッシヴで、オブラートに包むことをしないが、歪んだ世界観のなかにどこか美しさも兼ね備えている。Differ-Entは最もディープであり、同時に最もダークである。Differ-Ent = Tech-no.
最近、15年ぶりにニューヨークでプレイしたそうですね。いかがでしたか?
最高だったよ!多くのアメリカのクラブにとって、俺のようなアンダーグラウンドなDJをブッキングすることは大変だから、なかなかプレイする機会に恵まれないが、ニューヨークのプロモーターも何か特別なことをしないと俺がプレイすることはできないことを解っていたから、とてもアンダーグラウンドで良質なイベントをやってくれた。会場はブルックリンのとあるロフトスペースで、開場数時間前まで場所は公開されていなかった。3階建てで、屋上もあり、バーやシークレット・セキュリティ、そして良いサウンドシステムが揃っていた。キャパの倍ぐらい人が入っていたよ!次が待ち遠しい。
今後の予定は?
2月にはまた海外へギグに行く。UKのTURFツアーに参加していて、最終日となるBloc. Weekendでは、DJ Bone vs. Differ-Entとしてスペシャルなパフォーマンスをする予定だ。あと、カーディフ、ベルリン、パリ、ハールレム、バーゼルといった街を近々巡る。沢山新曲も用意しているし、新しいテクニックも披露できそうだし、DJ Bone vs. Differ-Entのショーも楽しみにしててくれ。そして、正真正銘のアンダーグラウンドDJたちをサポートしてくれている全員に感謝の気持ちを伝えたい。Respect!