- 新たなテクノのヘビー級の参上
- 去年、Rødhådの特集を組んで以来、彼を取り巻く状況は大きく変化した。その頃、彼はまだ新進気鋭のアーティストであったと言える。彼のDJギグは地元であるベルリン内か周辺が主であり、年に数回海外へ飛んでいただけであった。彼は以前から同市のテクノ・ファンの口コミで話題になっていたDJであり、深い時間に見せる長尺のプレイで知られていた。しかし今では、彼は世界の最も求められているテクノDJの1人として、1月に5ヶ国廻る事も珍しくないほどの人気を誇っている。
RødhådのDJスタイルは巧妙で、ループ主体で、魅惑的だ。これは、ベルリンのクラブでロングセットをプレイしていく中で出来上がったスタイルであり、レベルの高いミックス技術で聴く者を催眠術にかける。だが大ブレイクを果たした今も、Rødhådはキャリア初期に得意としていた繊細でメランコリックなサウンドから完全に離れた訳では無い。今回のPodcastにも、彼の悩ましげで呪術的なトレードマーク・スタイルが凝縮されており、ピークタイム向けのトラックから感動的で空間的なトラックまでを意図的に繋ぎ合わせた、素晴らしいテクノ・ミックスに仕上げている。
近況報告をお願いします
前回のインタビュー以来、色々とあったよ。最近は海外へ行く事が多くて、ほぼ毎週プレイしているね。あと大好きな私のスタジオで制作もしていて、忙しい日々だ。合間に、どうにか休息の時間を見つけようとしている。
ミックスの制作環境を教えてください
自宅で制作したんだ。朝、バスローブ姿でコーヒーを飲みながらやるのが私にとっては一番やり心地がいいんだ。最近はUSBでやることが多いが、このミックスは3台のCDJを使った。2台は持ってるから、友人のDon Williamsに1台貸してもらえるか尋ねたんだ。ラッキーなことに、貸してくれた。録音には2日かけた。1回テストミックスを録って、次の日の朝早くに本番テイクを録ったんだ。
ミックスのコンセプトについて教えてください
ここ最近やったpodcastよりも、聴く者がトリップするような、催眠的なものにしたかった。良い音楽が良い流れで続くと、その世界に引き込まれて、最後まで旅をしていたくなると思うんだ。ここの所、フェスだとか、ピークタイムで回すことが多くなったが、それでもやっぱりテクノや他のエレクトロニック・ミュージックのメランコリックで、ドラマチックな側面も好きなんだ。このミックスには自分の願いや気持ち、希望、経験といったものを注ぎ込んで、やりたいこと全てをやったつもりだ。出来には満足しているよ。
去年、以前よりもヘッドライナーとしてプレイすることが多くなりましたが、いかがでしたか?
今は良いポジションに居ると思っているよ。様々なクラブやフェスを経験したし、プレイしたDJセットにはとても良い反応をたくさんもらった。たしかにビッグなイベントだとか、ヘッドライナーとして出演したこともあったけど、そういったことはそんなに重要じゃないんだ。それよりも、Rødhådを自分たちが好きな音楽をかけるDJとして認識してくれている人達や、レコード屋に行ってアナログを買ってくれている人達がいることが、何よりも嬉しいんだ。何年もかけてやっと形になったものが認められて、何らかの報酬がもらえることは、とても素晴らしい気分だね。
音楽以外の仕事も継続しているのですか?
去年の頭に仕事のシフトを減らしたんだが、夏ぐらいに、このまま両立させるのは不可能だと気づいた。だから、仕事を完全にやめて、アーティスト活動に専念するという賭けに出たんだ。
今後の予定を教えてください
まずは、6月20日のベルリンのArena Clubで開催される次回のDystopianが楽しみだ。友人のKr!z、Don WilliamsやJeroen Searchも一緒だ。それ以外では、リスボン、パリ、プラハ、ハンブルグ、ニュルンブルグ、ヘント、ハイデルベルク、シュトゥットガルトで近々ギグがあるし、ヨーロッパ中でフェスが決まっている。そして、最近リミックスを仕上げたのと、今新曲を制作中なんだ。いつか、休暇がとれればいいんだけど。