Koshiro Hinoが新プロジェクトGEISTを始動

  • Share
  • ドラマーのEli Keszler、Tatsuhisa Yamamotoら総勢14名のミュージシャンが参加。
  • Koshiro Hinoが新プロジェクトGEISTを始動 image
  • Koshiro Hinoが新プロジェクトGEISTを始動し、3月にクリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)で初公演を行う。 エクスペリメンタルバンドGoatのコンポーザー兼プレイヤーであり、ソロ名義YPYでも活動するKoshiro Hinoは、2016年にオーケストラ編成のプロジェクトVirginal Variationsを発足し、電子音と生楽器の新たなあり方を提示していた。それに引き続き、今回新たなプロジェクトとしてGEISTを始動。GEIST、つまり「何か分からないけど存在している事を認識できるような不確かなもの」を意味するこのプロジェクトは、10台以上のスピーカーを使用し、”自然音と人工音がいっそう響き合い、光と音が呼応”する、新しい音の探求を目指すものだという。コンポーザーのHino、ニューヨーク拠点のエクスペリメンタルドラマー/プロデューサーEli Keszler、東京拠点のドラマーTatsuhisa Yamamotoをはじめ、総勢14名のミュージシャンが参加(全アーティスト名は以下のイベントページを参照)。公演は3月17日、18日の2日間にわたり、クリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)内スペースBlack Chanberにて各日昼と夜の2部構成、全4回のパフォーマンスが予定されている。 以下、Hinoによる本プロジェクトのステートメント。
    島根の実家は自然豊かな場所にあって、いまは、雨が降っている。その一粒一粒が地面を叩く音をそ れぞれ聞き分けることはもちろんできないから、広がりのある「サー」という音を茫と聞く。やがて 雨があがり陽が射すと、鳥や虫の声が聞こえてくる。家の前の、山に繋がる小さな道を登っていけば、 キリキリキリ、コンコン、と虫の音がはっきりしてくる。好奇心をそそられ、ある葉叢に近づくと音 のディテイルがより明瞭に分かる。さらに、たくさんのほかの虫の声や頭上の風巻き、鳥の声、葉擦 れ衣擦れなどを耳で遊弋し、小さな音を愛でる自分の〈繊細な感覚〉に満足、俄然興が乗り吟行でも せんかな、いや、ふと我に返る。と、それまで別々に聞いていた音が渾然となって耳朶を打っている ことに気づきなおしてぼう然する。小さな音が合わさって、急に山鳴りのように感じる。......。「〈繊 細な感覚〉なんてずいぶんいい加減なものだ」と醒めて、ぬかるんだ山道で踵を返す。きっと、あの 時すでに„Geist“に肩を叩かれていたのだ––。


RA