デジタルプラットフォームでの音楽家側収入を改善する法案がアメリカ下院議会を通過

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  • アーティスト側収入形態をデジタル時代にあわせた形に改定するMusic Modernization Actが、アメリカ合衆国下院を全会一致で通過。
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  • アメリカの音楽著作権及び利用許諾法を大幅に改定する新たな法案が、4月25日、合衆国下院を全会一致で通過したことが明らかになった。 Music Modernization Act(音楽現代化法)、別名House Resolution 5477(下院5477号決議)は、複数の法律をまとめたもので、法案賛同者の代表者は「20世紀初頭に作られたアナログ時代の音楽の法律を、デジタル時代の21世紀に合わせるもの」と説明している。 大きな変更点のひとつは、blanket mechanical license(包括的録音権)が新設されたことだ。これにより、デジタル配信自体を著作権侵害に該当しないものとすることができるようになり、また、ストリーミングやその他デジタルのサービスで利用された音楽から、著作権者(作詞家や作曲家等)のクレジットを追跡・収集し、著作権収入を分配する新たな代理業が実現することになる。現状、こうしたデジタルサービス上で発生した著作権収入を分配する代理業者として連邦議会から承認されているのは、非営利で運営されているSoundExchangeのみとなっている。House Resolution 5477には他にも、市場主導で決められている楽曲著作権使用料率(印税)の基準の改善や、1972年以前に録音された音源に対する新たな著作権保護、プロデューサーやエンジニアに対して適用される新たな著作権使用料率の制定などが盛り込まれている。 依然として不明瞭なのは、従来型のラジオ放送で楽曲が使用された際のパフォーマー(演奏者や歌唱者)に対する支払いの問題だ。Inside Radio報道によると、この問題については、全米放送事業者協会(NAB)と音楽業界は、政府での決定を待たず、独自に問題解決の妥協点を見つけようと動いている模様。 音楽業界内では、Recording Academy、RIAA、ASCAP、BMIがこの法案を支持し、またApple, Amazon、Google、Youtube、Spotifyといったデジタルメディア団体を代表するDigital Media Associationも支持している。 法案は下院を賛成415、反対0で通過した。2大政党制を布いているアメリカ政府では珍しい全会一致であり、上院を通過し、大統領行政府まで届く可能性が高い。上院司法委員会は、5月中旬からの審議を予定している。
RA