

世界で4月に開催されるベスト・フェスティバル10選。

10.
Snowbombing
マイヤーホーフェン、オーストリア
4月3日 - 4月8日
文字通りの意味では、レイブとスキーというのはかなり違ったもののように思えるかもしれないが、そこには重要な共通点がある。それは、この2つは心理学者の言うところの“スリルを求める行動”の典型的な例であるということだ。Snowbombingで、アドレナリンが溢れた貪欲なレイバーたちが夜通し踊り続けた後、気分転換の為に上級者コースを滑りに行くのも、納得できるかもしれない。これを聞いて怖じ気づく人もいるかもしれないが、Snowbombingの魅力は、気弱な人をも引き寄せてしまうほど強力だ。森の中やゲレンデのトップ(と、イグルーも忘れてはいけない)にあるダンスフロアに、マイヤーホーフェン・リゾートに点在する居心地の良いアルペンロッジと、ロケーションは抜群。そして、DixonからDennix Sulta、更にはDe La Soulまでと幅広いラインナップとくれば、ゆっくり過ごそうという考えはまず浮かんでこないはずだ。
RA Pick: 何か1つあげるとすればEats Everythingだ。

09.
L.E.V Festival
ヒホン、スペイン
4月27日 - 4月30日
L.E.V.とはLaboratorio Electrónica Visual(エレクトロニカ・ヴィジュアル研究所)の意。そう聞けば、この素晴らしいブティックフェスティバルがどんなものか大体想像がつくだろう。スペイン北部の海沿いの街、ヒホンで毎年春に開催されるL.E.V.は、ヴィジュアルアーティストたちと冒険的なエレクトロニックパフォーマーたちをペアにする。そして多くのアクトは、これを普段とは違う表現をする機会として捉える。例えば今年は、PANのボスBill KouligasがAmnesia Scannerとタッグを組み“Lexachast”というパフォーマンスを披露するほか、Markus HeckmannとRaster-Noton主宰のByetoneは“Universal Music”を、そしてDownwardsのアーティストSamuel Kerridgeは、2016年のアルバム『Fatal Light Attraction』のパフォーマンスを行う。その結果として、このフェスティバル特有の、サウンドとイメージの魅力的なシーケンスが生まれるのだ。
RA Pick: Kara-Lis Coverdaleと、ドイツ人アーティストMFOによるヴィジュアルのコンビに注目。

08.
Donaufestival
クレムス、オーストリア
4月28日 - 5日6日
Donaufestivalはちょっとしたダークホースだ。オーストリアの街クレムスにある少数の会場で、そう多くはない数のアーティストがプレイする同イベントは、ヨーロッパの忙しいフェスティバルマーケットの中では目立たない存在だった。にも関わらず、Donaufestivalは毎年のように、エレクトロニック/エクスペリメンタルミュージックにおいて最もアドベンチャラスで影響力のあるアーティストたちを捕らえている。今年の出演者を見るだけでも、インダストリアルのイノヴェーターEinstürzende Neubautenや、ジャーマンテクノの重要人物Wolfgang VoigtによるGAS名義のライブセットなどが含まれている。その他にも、Elysia Crampton、Equiknoxx、Actress、そして南アフリカ産ハウス・コムの先駆者DJ Lagなど、現代エレクトロニックミュージックのあらゆるアーティストがラインナップ。その上、Scritti PolittiやThis Is Not This Heat(想像できるかもしれないが、This Heatの元メンバーたちによるグループだ)といった、ポストパンクのパイオニアまでもが登場する。
RA Pick: DJ /ruptureことJace Claytonが、コンセプチュアルなライブパフォーマンスThe Julius Eastman Memorial Dinnerを披露する。

07.
Caprices Festival
クラン=モンタナ、スイス
4月6日 - 4月9日
ビッグなビートやビッグな瞬間を売りにするDJを中心にラインナップを組むスキーフェスティバルが多い中、Capricesはより繊細なサウンドの為のスペースを確保している。2017年、同フェスティバルの参加者は、昼間はかの有名なローヌ谷の景観をクラン=モンタナから眺め、夜にはSonja Moonear、Craig Richards、Dorian PaicといったDJたちによる音のループにハメられる。もちろん大箱向きのサウンドも目白押しで、Marcel Dettmann、Ben Klockというテクノのキング2人が、Marco CarolaやJamie Jonesと共にラインナップされている。高地でのレイブという話になれば、Caprices以上に素晴らしいフェスティバルは数少ない。
RA Pick: Dana Ruhによるディープハウスとミニマルのクラッシーなブレンドで、日曜の午後を過ごそう。

06.
Inner Varnika 2017
メルボルン、オーストラリア
4月14日 - 4月16日
オーストラリアのドゥーフシーンが、大きなブランドによってますます専門化され、コントロールされていく中、Inner Varnikaは大手ライバルたちが欠いている、音楽第一でDIYな精神を保っている。燃料は全てバイオディーゼルを使用し、皆が埃まみれになり、ステージはたった1つという、かなりコアな音楽ファンの為のようなInner Varnikaでは、オーストラリアで最高のダンスミュージック・エクスペリエンスが待ち受けている。出演者数は多くはないが厳選されており、国内トップクラスの(だがあまり知られていない)セレクターたちに、Jayda GやD. Tiffanといったアーティストや、DJ SotofettとFettburgerのデュオとやり合うチャンスを与えている。
RA Pick: 野原で聴くDJ Sprinklesのじっくりと展開していくセットは、間違いなくクラウドに催眠術をかけるだろう。

05.
Electron
ジュネーブ、スイス
4月13日 - 4月16日
Aaron Cloultateが指摘した通り、ジュネーブはエレクトロニックミュージックを聴く為にスイスで一番の街ではない。ただし、Electronの週末を除いては、の話だ。毎年、この4日間に渡るフェスティバルはシーンに新たな風を吹き込み、そして国内外の様々なアーティストたちを街の5つのベストヴェニューにギュッと詰め込む。Booka ShadeとChris Liebing、Chez Damier、Mind Againstを一晩で聴ける機会なんて他にあるだろうか?Mathew JonsonとZombie Zombieのライブミュージックセッションを聴う日曜日は?その他にも、Guy GerberやBlack CoffeeからDub Phizix、そしてMPCの達人Araabmuzikの出演が決定している。
RA Pick: GieglingのKonstantinとLeafar Leagov、Kettenkarussellが、金曜の夜にこじんまりとしたスポットLa Fonderie Des Miraclesをテイクオーバーする。

04.
DGTL
NDSM Docklands、アムステルダム、オランダ
4月15日 - 4月16日
ロケーション、ラインナップ、ディテールに関するこだわり。ダンスミュージックフェスティバルにおいてオランダ人より上手な人種はいるだろうか?2017年で5度目の開催を迎えるDGTLは、オランダ国内でもトップクラスのフェスティバルであり、アムステルダムの工業地帯に位置するNDSM Docklandsへ、2日間に渡り幅い広いキャストのハウス/テクノアーティストを招聘する。今年はメイン会場の中にGainというキャパシティ300人規模のヴェニューが新たに誕生し、キュレーターとしてRAが参加する。DixonやDJ Koze、Rødhådといった人気ダンスアクトのほか、A Made Up Sound、Sandrien、Willowなどによるよりディープなサウンドも楽しめる。
RA Pick: 土曜日のGainでは、Maceo PlexとLord Of The IslesがB2Bをプレイする。

03.
Sunwaves
Sunwaves Beach、ルーマニア
4月27日 - 5月1日
フェスティバルというスペクトラムの一面には、新しいサウンドやアーティストに目星をつけることによって、時代の風潮をキャプチャーしようとするブッカーたちがいる。そしてフェスティバルのもう一面には、外界を閉ざし、ある特定のサウンドと、毎年繰り返し出演するコアキャストに肩入れする人たちがいる。前者は様々な様子が描けるであろうが、後者の場合はほぼ間違いなくカルト的な人気を生むことが多く、Sunwavesはそれを他のどのフェスティバルよりも顕著に具体化している。来る年も来る年も、同フェスティバルは断固として地元ルーマニアのサウンドと、その形成に影響を与えてきた国外アーティストたちをサポートし続けており、それを求めて忠実なレイバーたちは毎年ママイアのビーチを巡礼する。今年のラインナップでは現時点では発表されていないが、ミニマルで奇妙はハウスのロングセットが大部分を占めると確信していいだろう。
RA Pick: ZipとRicardo VillalobosがSunwavesでB2Bをプレイする時は、必ず最高の内容になる。

02.
Time Warp
Maimarkthalle、マンハイム、ドイツ
4月1日 - 4月2日
地球が回り、太陽が昇り、そして沈むように、Time Warpは今年の春もまた、マンハイムでの巨大なパーティーの為に舞い戻る。’90年代初期にレコードストアとしてスタートし、今やマンモス級のレイブへと成長したこのイベントに参加することは、ヨーロッパの多くのハウス/テクノファンにとっては通過儀礼のようなもの。数千人規模の参加者は巨大なMaimarkthalleの会場で、Ricardo Villalobos、Laurent Garnier、Chris Liebing、Dixonといった影響力のあるベテラン勢のプレイをキャッチする。ハイクオリティなサウンドとタレントを重視するTime Warpは、(毎年ダンスミュージックの頂点に君臨する重要人物たちをラインナップしている)あらゆるダンスミュージックが一度は訪れるべき聖地のようなフェスティバルだ。
RA Pick: Jamie Jonesのキャッチーでボトムヘヴィーなハウスは、TIme Warpの巨大なフロアに完ぺきにマッチする。

01.
Organik Festival
牛山呼庭、花蓮、台湾
4月28日 - 4月30日
Organikは、ほとんど(特に西欧諸国)の人にとってはまだまだ新しい存在かもしれない。今年で6年目を迎える同フェスティバルを手がけるのは、2009年から台北を拠点に素晴らしいテクノイベントを開催し続けるクルー、Smoke Machineだ。フェスティバルでは彼らのパーティーを同じ信条を掲げており、チケットが即完するようなビッグネームをブッキングすることなく、才能がありながらも有名とは言えないアーティストたちによる、最高のクラブミュージックを紹介している。しかし、このフェスティバルと、その生まれ元となったパーティーとを区別する、重要な違いが1つあるーそれは環境だ。「緑生い茂る山々に囲まれた台湾のビーチで開かれるエレクトロニックミュージックフェスティバル」と、Chris Zalduaは昨年のイベントのレビューの中で記している。「Organikは自分にとってのパラダイスだ、と考える人がいると賭けてもいい。」2017年、Organikは開催期間を2日間から3日間に延長したが、Voiski、DJ Dustin、Chris SSG、そしてThe Bunker New YorkのBryan Kasenicといったアーティストたちが繰り出すリズムは、かつてないほど美しくディープになるはずだ。
RA Pick: DJ Nobuのコズミックなテクノは、あの見事な景色とばっちりハマるだろう。
4月に開催されるフェスティバルのリスティングはこちらからチェック。
Comments loading