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RA In Residence: Kaiku

  • 7月のRA In Residenceは、そのキラー・サウンドシステムと秀逸なブッキングを誇るフィンランドきっての名門クラブを訪ねる

    • 01
      In Residence
    • 02
      主要情報
    • 03
      歴史
    • 04
      レジデント陣
    • 05
      重要人物
    • 06
      サウンドシステム
    • 07
      ミックス
    Chapter

    01

    In Residence

    Kaiku, Helsinki

    世界12カ所でのベスト・ダンスフロアーでの祝祭



    2016年、In Residenceシリーズは、2016年の1年間を通して世界12カ所のベスト・クラブを巡りながら各地でそれぞれ1ヶ月間にわたってパーティを開催し、クラブカルチャーを讃えようという企画である。クラブという空間は、日々脈動するダンスミュージックにとっての心臓部といってよく、今年我々が巡る12カ所のクラブは各地のシーンを盛り上げつづけている重要なヴェニューである。週末が訪れるたびにクラブのドアは開き、その中ではわたしたちの愛する音楽がプレイされている。

    7月の1ヶ月間、RA In Residenceはフィンランドの首都ヘルシンキにあるスタイリッシュなクラブKaikuに滞在する。2013年にオープンしたこのクラブは、これまでにもヘルシンキ市内で長きにわたり数々の重要クラブを手掛けてきたToni Rantanenによる最新のスポットでもある。当初はハウスやディスコが中心となっていたこのヴェニューだが、今では硬質なテクノやEBM、エクスペリメンタルなベース・ミュージックもプレイされ非常に幅広いジャンルをカバーするクラブとなっている。このクラブはリスクを負うことを厭わず、その事実がヘルシンキの幅広い年齢層の音楽ファンたちからこよなく指示を集める要因となっているようだ。

    各地のクラブへそれぞれ1ヶ月間にわたって滞在するにあたり、我々はそれに連動した特集記事を展開していく。さまざまなメディアを組み合わせながら、これらの象徴的なクラブの全貌を捉えていこうと思う。




    July 08 RA In Residence, Kaiku, Helsinki
    feat. Honey Dijon, Lipelis, Baba Stiltz, Lauri Soini, Emma Valtonen

    July 15 RA In Residence, Kaiku, Helsinki
    feat. Zip, Pender Street Steppers, Trevor Deep Jr., Lil Tony, Sansibar, DJ Windows95man

    July 22 RA In Residence, Kaiku, Helsinki
    feat. Lena Willikens , Intergalactic Gary, Kristiina Männikkö, DJ soFa, Ya Tosiba

    July 29 RA In Residence, Kaiku, Helsinki
    feat. Olof Dreijer (The Knife), SØS Gunver Ryberg, Scientific Dreamz of U, Jori Hulkkonen, Juho Kusti

    Chapter

    02

    主要情報

    Kaikuの概要

    • 01
      所在地
      Kaikukatu 4, 00530, Helsinki, Finland
    • 02
      オープン
      2013
    • 03
      サウンドシステム
      Danley
    • 04
      キャパシティ
      400
    • 05
      レジデントDJ
      Lil Tony, Lauri Soini, Kristiina Männikkö, Emma Valtonen, Juho Kusti, Fummer, Antti Salonen, Jori Hulkkonen, Sansibar, DJ Windows95man, Trevor Deep Jr, Jaakko Kestilä, J.Lindroos, Ender, Newhouse, Noah Kin
    • 07
      ダンスフロアーの数
      2
    • 08
      ミュージック・ポリシー
      友だちみんなと一緒に踊れる曲




    Chapter

    03

    歴史

    ヘルシンキの伝統














    ヘルシンキのダンスミュージック・シーンの話題において必ず名前が挙がる、ある人物がいる。その男の名はToni Rantanen。ダンスミュージックを少しでもかじっているリスナーならば、InnervisionsやMoodmusic、Running Backといったレーベル群から作品を発表するLil Tonyの本名だと言えば伝わりやすいだろう。彼はLux Frágil(6月のRA In Residenceの滞在先であった)やSub Clubといったフィンランド国外の著名ヴェニューでもつい最近プレイしてきたばかりだが、彼はフィンランドで最も成功したハウス/テクノ・アーティストというだけの存在にはとどまらない。過去30年間にわたり、フィンランドのクラブシーンを国際的なスタンダードにまで引き上げようと不断の努力を続けてきた人物こそ、このToni Rantanenという男なのだ。

    Rantanenはヘルシンキ市内の重要なミュージック・ヴェニューの経営者である。キャパ800の建物にあるÄäniwalliはこれまでJeff Mills、Ben Klock、Marcel Dettman、Robert Hoodをはじめとしたテクノ界のビッグネームたちを迎えてきた。Ääniwalliは主にライブ・ショーなどのために使用されているが、夏期のあいだは1000名収容可能なテラスでVUMというオープンエアー・イベントを毎週日曜に開催している。

    Siltanenはヴァイナル・オンリーにこだわったDJバーであり、ハウスやテクノは一切プレイしないというポリシーを持つ。店内には、Liemiという名のベトナム料理レストランも併設されている。

    Kuudes LinjaはRantanenが現在経営に携わっている店舗の中でも最も長い営業年数を持つ店で、ここは2005年にオープンしている。ライブ・ミュージックに焦点をあてた店だが、時折テクノのイベントもブックされている。

    Stidiläはサウナとアフターパーティ用のフロアーを備えたフィンランドらしいヴェニューで、ここは一般へのレンタルも行っている。

    そして、Kaikuである。

    (Rantanenはフィンランドで毎年開催され数百ものアクトと60,000人もの観客を集めるヘルシンキの人気フェスティバルFlowの創始者でもある。)

    Rantanenのエレクトロニック・ミュージックに対する情熱は、そのほとんどの部分が彼の青年期における放浪時代に培われたものだという。「80年代の後半に訪れたベルリンやイビサ、ロンドンでの体験が僕にとっての最初のインスピレーションとなったと思う」とRantanenは切り出す。「80年代後半、ヘルシンキにはClub Berlinというヴェニューがあって、そこは基本的にはアシッドハウスやテクノをメインにしたクラブだった。僕が本格的にDJを始めたのは18歳の時で、それからすぐにたくさんのパーティを仕掛けるようになったよ。90年代初頭は、アンダーグラウンドなパーティをオーガナイズするようになっていった。そんな経験を重ねていくうちに、クラブというビジネスがどのように成り立っているか知ることができたし、当時のヘルシンキの他のクラブにあるサウンドシステムやDJブースにはすでに満足できなくなっていたので、じゃあ自分たちでクラブを作ってしまおうってことになったのさ」

    RantanenとそのビジネスパートナーであるTimi UskaliがKermaという名のクラブをオープンさせたのは1997年。Rantanenが言うにはそのクラブはヒップだが家賃の高いプナブオリ地区にあったそうで、オープン当初から大盛況だったそうだ。Kermaは現在では閉店してしまっているが、Kaikuがオープンした2013年を境にRantanenは複数のキャラクターと方向性を持った新しいクラブを次々にオープンさせたため彼は極めて多忙な身となってしまった。2009年、Marcel DettmannはRantanenが経営するクラブの1つをRedrumと名付け、Dettmann自身ここを世界で五指に入る彼のお気に入りの場所だと公言している。Dettmannは毎年に最低3回はこのヴェニューでプレイしており、Ben Klockもまたたびたびここを訪れている。Rantanenが言うには「Âmeもほとんどレジデントみたいなものだね」とのことだ。Soda、Åbo、Oujee、Rose Garden、それにClub YK... Rantanenが手掛けたヘルシンキ市内の重要なナイトスポットをリストアップすると、それは途轍もなく長いものになるだろう。

    これらのクラブは常に一定の存在感を示してきたが、Rantanenとそのクルーたちが最初に始めたころに比べると、ヘルシンキはずいぶん変化したという。「Kaikuがあるエリアはカルリオというんだけど、昔はとてもじゃないけどクールと呼ばれるような場所ではなかったんだ」とRantaneは回想し、「そんな場所に、僕らは2000年にこのエリアで最初のクラブを作った。Kuudes Linjaという名のクラブさ。今ではこのエリアもずいぶん感じの良い場所になったし、若者も多く、いいレストランもたくさんある。












    「Kaikuを立ち上げるというアイディアは、実はオープンのずっと以前からあったんだ。というのも、現在Kaikuが入っているのはKuudes Linjaと全く同じビルだからね」とRantanenは打ち明ける。現在では、この2つのヴェニューは同じテラスを共有している。「いい感じの窓を備えた居心地の良い空間にしたいというアイディアはずっと持ちつづけてたんだ。どこかフランクフルトのRobert Johnsonを思わせるようなね」

    たしかに、Kaikuのメインルームへ初めて足を踏み入れた時に筆者の脳裏に浮かんだクラブはまさにRobert Johnsonであった。ウッドをふんだんに使った温もりを感じさせる内装やDJブースの後方に広がる窓は明らかにRobert Johnsonと似ている。だが、より空間の広さを感じさせるのはKaikuのほうだ。ターンテーブルやミキサー類が載せられたテーブルは鎖を介して天井から吊り下げられており、その点ではかつてのPanorama Barのセットアップを彷彿とさせる。とはいえ、いったんフロアーが客で埋め尽くされると、その雰囲気は紛れもなくKaiku独特のもので、その独自のアイデンティティこそYoung MarcoがGuardian紙のインタビューにおいて世界のベストクラブとしてKaikuを挙げた理由なのだろうと想像できる。Young Marcoのインタビューの内容を一部引用しよう。「もし自分がクラブをデザインするとしたら、まさにKaikuのような場所になるだろう。木で作られた大きなハコに素晴らしいサウンドシステムがあって、ブースにはロータリーミキサーと完ぺきなターンテーブルが備え付けられててさ(残念ながら、こうしたまともなターンテーブルを備えたクラブは現代では意外なほど少ない)。そこにオープンマインドなクラウドと素晴らしいプログラミングが組み合わさったクラブこそ、ヘルシンキのKaikuなのさ」とYoung Marcoは語っている。Kaikuにおいてさらに特筆すべきは、わずかキャパ50人にも満たない小さなセカンドルームだ。脇には豪奢な椅子があり、壁面にはプロジェクター越しに映像が投影されている。このサブルームでは不定期的にヒップホップやゲイ・パーティなど単独のパーティが行われることもある。










    Kaikuのアイデンティティをさらに印象づけているのは、実に的を得たヴィジュアル面でのディレクションだ。このクラブのためのグラフィックやヴィジュアル面はすべてLinda Linkoが一括して担当しており、彼女はJaako Suomalainenと共にKaikuのためだけに特別に誂えたフォントをデザインしている。Kaikuのポスターは、基本的にフォントは同一の物が使用され、カラーと基本インフォが変化していくのみである。どうやら、この簡潔さにはいくつかの理由があるようだ。Kaikuのブッキングを担当するかたわら、レジデントDJも務めるLauri Soiniは以下のように打ち明ける。「このやり方は、コスト面でも非常に効果的なんだ。それに、時間の経過による風化にあまり左右されないだろ。ゲストやジャンルを殊更に主張しすぎるわけでもない。このデザイン・フォーマットは全てを均一に並べることができるってわけさ」

    「Kaikuのためのポスターのアイディアは、最初から明確なものだったんだ」と当のデザイナーであるLinkoは語り、さらに「僕はタイポグラフィーを軸にデザインされた音楽関係の古いポスターが好きでね。特にちょっと変わった書体や空間、線の使い方を持ったものが好きだったんだ。また、僕はKaikuが入居している建物は以前マッチ工場だったという事実にもインスパイアされている。僕には古い工業機械やサーカスっぽいタイポを組み合わせるというアイディアがあった。明確で強いイメージを持ったタイポを作りたいという意図もあったけど、それでいて女性的な曲線の感覚と、ちょっとした奇妙さも取り入れたかったのさ」と続ける。Kaikuは2014年のヨーロピアン・グラフィック・デザイン・アワードにおいて金賞を受賞している。










    Kaikuはこれまで決して順風満帆な道のりを辿ってきたわけではない。他の大都市のクラブと同様、彼らもまた行政側との駆け引きをくぐり抜けてこなければならなかったのだ。「正式な営業ライセンスを取得するまでは、苦難の連続だった。というのも、このエリアにはこれまでクラブやレストランを備えた空間など一切存在しなかったんだからね」とRantanenは語る。「僕らは全てを最初から作り上げる必要があったんだ。最初はサウンドシステムにFunktion Oneを導入していたんだけど、明らかに低域が空間サイズに対して過多だったようで、近隣から低音漏れに関する苦情が寄せられていた。そこで僕たちはオープニング後に窓を3重ガラスのものに変えた。でも、そうした努力の積み重ねのおかげか、今のヘルシンキのエレクトロニック・ミュージック・シーンはすごくいい感じになっている。僕らは早くて来年には24時間営業のためのライセンスを取得できる見込みだし、現在でもたくさんのアフターアワーズや23時間パーティを開催している。それというのも、法規制のために1日1時間は閉店する必要があるからなんだけどね。たとえば午前4時から5時までの1時間は完全閉店しなきゃいけないってわけさ。いささかクレイジーな状況ではあるけどね」

    現在のところ、Rantanenはさらに店を増やすつもりはないようだ。「いまKaikuが入居している建物をさらに拡大する予定はあるけどね」と彼は打ち明ける。「アイディアとしては、合計5〜6のヴェニューを1カ所にまとめて、総収容キャパ2,500人ぐらいの規模にしたい。それぞれのヴェニューには固有のアイディアや音楽面でのポリシーがあるので、それらの複合体という意味で『COMPLEX』という名称になると思う。寒さの厳しい冬には非常に居心地の良いインドア・フェスティバルも開催できるようになるはずさ。これはヘルシンキでは初めての試みだ」とRantanenは続ける。6つの独立したヴェニューが1つの建物内に共存するとは、ほとんどの人にとっては途方もない夢物語にも聞こえるが、これまでRantanenが成し遂げてきた功績を踏まえれば非常に論理的なステップに思えてくるから不思議なものだ。









    Chapter

    04

    レジデント陣

    ...写真紹介

    Antti Salonen
    • Antti Salonen
    • Emma Valtonen
    • Juho Kusti
    • Kristiina Männikkö
    • Lil Tony
    • Lauri Soini
    • Sansibar
    • DJ Windows95man
    • Fummer
    • Trevor Deep Jr
    Chapter

    05

    クラブを支える重要人物

    Lauri Soini

    プロモーター/ブッキング担当/レジデントDJ




    Lauri Soiniのバイオグラフィーの1行目には、こんな一文がある —「ヘルシンキのワンマン・エンターテイメント・センター」— Kaikuにおけるプロモーターとブッキング業務、さらにはレジデントDJを一手に引き受ける彼を紹介するにはぴったりの表現だ。過去15年もの間、あらゆるイベントやクラブの運営においてToni Rantanenと共に密接に働いてきたLauriはまさしくこのヘルシンキのローカルシーンで突出した存在感を持つ人物だといえるだろう。しかしながら、彼が初めて企画の段階から深く関わったプロジェクトこそ、Kaikuである。「僕はKaikuをまるで生命を持ったような存在にしたかったし、必要以上のキャラクター付けはしないようにした。とりわけ立ち上げ時にはプレイされるジャンルをあえて絞らず、より多くの選択肢を用意しておくようにしていた。どの週末に行っても同じジャンルと同じオーディエンスばかりの、いわゆる普通のクラブにはしたくなかったからね」と彼は語る。

    Soiniは、テクノとダンスとの出会いによって彼の人生は変えられたという。90年代初頭にあるミックスを聴いた瞬間から、彼はすぐさま自分でもDJをやろうとレコードを買い集め始めたそうだ。「僕がDJを始めたのは、僕がクラブに行ける年齢になるよりずっと前のことさ」と彼は切り出す。「あの頃は、バウンサーの目を盗んでこっそりとToni(Rantanen)のパーティに忍び込んだりしていた。フロアーの隅っこでうろうろしながら、当時僕が好きだったアーリアワーズのダブ・ハウスやテクノなんかを聴いてた。僕のDJに延々と続くウォームアップ的なヴァイブがあるとしたらこのせいかな。僕にとっての最初のギグはパンクスが主催していたスクワット(不法占拠)ビルでのパーティで、僕はテクノをプレイしていた。今ではその場所にはNokiaのオフィスビルが建っているけどね。最初、僕はテクノやハウスをプレイするDJだったけれど、やがてレコーディングやライブもこなせるようになって、今ではディスコをメインにした小規模なパーティをプロモートしている。フィンランドには「ケツから入る」みたいな独特の言い方があるんだけど、僕のキャリアもまさにそんな感じだね。逆向きで木登りしている感じっていうかさ」

    Soiniには、国際的なアーティストとして成功するチャンスが訪れた時期もあった。彼はHannulelauriの一員として友人たちと数年間のあいだツアーを行ったが、結局のところ彼は生まれ育ったヘルシンキにとどまることを選んだ。「ツアーは楽しかったけど、いつも恋しく思っていたのは地元ヘルシンキのコミュニティなんだ」と彼は語り、さらに続ける。「あの時期は、僕にとって変化の季節だったんだろうね。音楽やそのクラウドの間にあった境界がより低いものになり、みんなが一緒に楽しみたいっていう勢いが生まれ始めていたと思う。ヘルシンキのコミュニティで僕はたくさんの友人ができたけど、ダンスに出会う前、家に籠もりっきりで『World Of Warcraft』(編注:Windows用のオンラインRPGゲーム)で遊んでいてばかりの頃の僕とは大違いだよね。灯台下暗しというか、僕にとって大事なものはネットの広大な世界よりも地元のコミュニティの中にあったというわけさ」


    Chapter

    06

    サウンドシステム紹介

    Danley



    「ヨーロッパには2つの良質なサウンドシステムが存在するが、そのうち1つはフィンランドにある」

    これはBasic ChannelおよびHard Waxの屋台骨を支えるMark ErnestusがKaikuの中枢に鎮座するサウンドシステムを評して語った言葉だ。普通、こうした賞賛を受けたクラブは、できるだけその現状を維持しようとするものだが、Kaikuのクルーはその栄誉にただ甘受するだけにはとどまらなかった。それどころが、彼らはシステム全体をまったく一新してしまったのだ。

    「以前使用していたVoidシステムと、低域のスタッキング・システムはたしかに非常に良質なものだった」とLauri Soiniは切り出し、「以前のシステムはよりダンスホール的な低域を強調したセットアップだったので、天井が高い構造を持つKaikuにとってはちょっと低域が出過ぎているように感じることもあったくらいさ」と続ける。Kaikuはオープンしてからまだ3年しか経っていないが、現在彼らが使用しているDanleyのシステムは三代目のものとなっている。「オープン当初はFunktion-Oneを使用していたんだけど、それらはすぐにシステムごとÄäniwalliに移設することにした。Ääniwalliはラフなウェアハウス・ヴェニューで、テクノだけがプレイされていたので、Funktion-OneはむしろÄäniwalliにこそフィットしていると考えたんだ。Funktion-OneもVoidも共に良質なシステムだけど、それらを鳴らすべき最適な場所とルームを探る必要があるね」

    「今のところ、Danleyのシステムはこれまで使用してきたものの中で最もKaikuに適していると思う」とSoiniは語る。「低域はシャープなキレがありつつも暖かで、中高域も非常にソフトで解像度も高い。生楽器やヴォーカルが入っていてもOKだし、あらゆるタイプのダンスミュージックをプレイできるんだ。とりわけヴァイナルとの相性は最高だね。テラスではL-Acousticsのシステムを使用していて、僕らが求めるエナジーレベルを十分に満たしつつ、近隣住民の自宅リビングに並ぶ陶磁器コレクションにも影響を与えないからね」

    スピーカー
    - 4x Danley SH46
    - 3x Danley DBH218

    アンプ&プロセシング
    - Danley DSLP48
    - 4x MC2 E25 amps for SH46
    - 2x Danley EDA 12000 for DBH218

    モニター
    - 2x Funktion-one RM18 with Funktion-one F60Q amp




    Chapter

    07

    ミックス

    Kaikuを象徴するサウンド

    Lauri SoiniがKaikuのムードを凝縮したミックスを披露


    「自宅の廊下に置いてあるレコードバックを3つピックアップしてスタジオに向かい、そこでミックスをレコーディングした。基本的には僕がいつも週末にプレイしている曲で構成している」

    「このミックスにはいくつかアーリアワー的なサウンドも入っているけど、いつも遅めの時間に来る人々は普段聴き逃しているものかもしれないね。あとは、常にレコードバックの中に入ってはいるけど、あとでアフターパーティでかけようと思ったりして“かけるべきタイミング”ってやつを逃しがちな曲も入っている。僕は毎月Kaikuの隣のバーでニューウェーブ/イタロ/ニュービートに限定したパーティをやっていたりするので、そうしたレコードが間違ってKaiku用のレコードバッグにまぎれ込んだりすることもある。このミックスはディープハウス、テクノ、ディスコ、エレクトロ、ニューウェーブ、アシッドハウス、オールド・トランス、それに最近のパーティトラックまでがランダムに並んでいる。あとで気付いたんだけど、クラシックなディスコの12インチをプレイするところまではたどり着いていないね。おそらく、僕がこのミックスを火曜日の真夜中に地下のスタジオに1人で籠って酒一滴も口にせずレコーディングしていたせいだろうね」

    「このミックスに使用した機材は2台のSL1200、それにミキサーはDJR-400。2016年7月12日にヘルシンキでレコーディングした」

    Tracklist /
    Felix Da Housecat - Temptation
    Mr Fingers - Children At Play
    Florence - The Vineyard
    Nemisis - After The Storm
    Mark Archer - Dream Plant
    Hexagone - Sea Brids
    Der Zyklus - Formenverwandler
    Espresso - Let's Get Down
    J. M. Band - Computer Monkey Instr.
    Ponzu Island - Super Koto
    Sfire - Sfire 6
    Casey Tucker - Blue Light Factor
    Tons Of Tones - Photogene
    Techno Grooves - 100% Of DX-ing You
    Pale Blue - Acid Waves
    Paul Rutherford - Get Real
    De Ambassade - Geen Genade
    Car Crash Set - Two Songs







    KaikuのRAプロフィールページはこちら。これまでのIn Residenceシリーズで特集したクラブの記事一覧はIn Residenceでチェック。
    • 文 /
      Hugh Taylor
    • 掲載日 /
      Fri, 22 Jul 2016
    • 翻訳 /
      Kohei Terazono
    • Photo credits /
      Header - Janne Hirvonen
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