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AOKI takamasa: 枯れない泉

  • リズムと写真をアートフォームとする彼が、自然への接近とシンプリシティの追求について語る。

    AOKI takamasaというアーティストは、しばしば「自然」ということばを用いる。自然と言えば、たいていの人々はただ美しいだけの風景世界を連想するだろう。しかし、「美しさ」とは「おそろしさ」を孕んだ残酷な表裏一体性をおのずから伴う。「自然の美」とは、大胆さと繊細さ、奇怪さと華麗、野蛮と上品、悠久と瞬間・・・これらダイナミックな要素の相反性が引き起こす強烈な磁場の表出だ。その神秘性は否応無い吸引力で人間を惹き付け、しかし無闇に近づこうとすれば烈しい反発を食らわされる。それでもなお近づこうと努力し挑みつづけるのが人間らしい創造性の在り方だとしたら、AOKI takamasaほど人間らしいアーティストが彼の他にどれだけ存在するだろうか。

    2001年にデビューして以来、これまでの12年間にわたるキャリアの中で、AOKI takamasaはリズムというユニヴァーサルな言語を用い、自然の美や宇宙におけるさまざまなエレガントでダイナミックな現象を解き明かそうという探究と観察を続けてきた。先ごろ5月にドイツraster-notonより届けられた通算8作目となるアルバム『RV8』はAOKIらしい直観的かつシンプリシティに富んだ感性—つまり、彼が言うところの「問答無用」な感覚—が最も鋭いかたちで表出した傑作だ。

    アートフォームとしてのアウトプットのかたちが音楽であろうと写真であろうと、そのどちらにも共通しているのは、彼の透徹した観察眼だろう(AOKI自身はそれを「宇宙人が地球観光しているときの視点」と言い表してもいる)。どんなモードやフォーマットにも左右されない、その揺るぎない観察眼の奥底で流れているのはまるで枯れない泉のごとく滾々(こんこん)と自噴する創造力だ。『RV8』リリース・ツアーのためにヨーロッパへ出発する直前の彼に、kohei terazonoがインタビューした。





    『RV8』のリリースから早くも1ヶ月が経過したわけだけど、孝允本人としての手応えはどんな風に感じてる?

    もう1ヶ月も経ったんやね。ほんまあっという間。うん、アルバムに関してはディストリビューターさんからも予想以上の枚数が出てるって話を聞いてるし、サカナクションのみんなが広めてくれたりしてくれたことも大きいんかな。感謝やわ。

    KATA GalleryでやったMAAくんとのデザインプロジェクト「A.M. 」のショウケースのタイミングや、孝允が参加したサカナクションのアルバム・リリースのスケジュールも偶然近い時期に重なったし。

    な。全部がすげー良いタイミングにはまって。ええ循環になってると思う。

    孝允の作る音楽って、いわゆる「リアクション・ミュージック」ではないと感じてて。つまり、他者の作る音楽に対する反応や影響、模倣、参照、もしくは回答として自分の音楽を作るのではなくて、自分の内面からあふれてくるものをできるだけピュアなかたちで、アウトプットしていこうというシンプルな一貫性を孝允の活動からはいつも感じてるんだけど。そのあたりについては孝允自身はどう認識しているのかな?

    ゾノが『RV8』のライナーノーツで”湧きあがる”って言葉を持ってきてくれたとき、「自分の好きな音楽にすげー当てはまってる」って思ってん。僕の好きな音楽も、そういう「勝手に湧き出てきてる」ような音楽やねんな。僕が自然と反応するものはほとんどがそういう音楽やねん。

    考えてみると、IsoleeやD'angeloもそういうアーティストだよね。温泉のようにとろとろと溢れ出てきていたり、火山のように噴き出していたり、人それぞれに個性の違いはあるけど。

    ね。いまD'angeloは休火山やけど(笑)僕が思う「いい表現」をしている人たちは、そういう溢れ出して湧き出るようなものを作ってる。

    形式的な部分を参照するのではなく、その表現の在り方にこそ共感する、と。

    うん。

    孝允が「テクノ」という言葉を使うときも、それは音楽におけるひとつの定型化されたフォーマットとして使ってるわけじゃないもんね。

    そうそう、ぜんぜん違う。フォーマットのことじゃない。





    むしろ、「テクノ」という現象であったり、ひとつの在り方?

    うん。コンピューター、もしくはエレクトロニクスを通して湧き出てきたミニマルで抽象性の高いリズムがもたらす自由さが僕にとっての「テクノ」。



    「これまで重しになってたものがただの表層と
    いうか色づけになって削ぎ落とされていって、
    芯に残ったのは自然な音楽本来の歓びであったり
    楽しみだったり」




    それで、今回の『RV8』に関してなんだけど、Twitterですごく興味深いツイートを見つけたんだよ。

    いやー、もうアルバムの評判とか見るの怖くて・・・。自分ではまったく見てないんやけど。

    作品をいったん世に放ってしまうと怖いよね。でも、僕はこのツイート(*)を読んでこれ以上ないほど的確に『RV8』っていうアルバムを言い表しているなと思って。

    へー、どんなツイート?

    連投でツイートしてる内容をそのまま引用させてもらうね。・・・「表面上の聴感は電子音による人工的な美学が一貫してるけど、グルーヴは有機的で、サウンドからは優しさと愛情が溢れ出てる。カッティングエッジでミニマルに削ぎ落とされているのにサウンドが攻撃的でなく、本質の部分はポップだ。」

    うおー、何これ?すげー!これめっちゃ嬉しい。

    まだ続きがあってね・・・「商業音楽って多くの場合、人を引きつけたい、誘惑したいという欲望を伴ってデザインされていて、メロディやコードや曲のギミックが作られると思うのだけど、RV8はそんな自己顕示欲の表出みたいなのがかなり捨て去られてる印象。派手なことはなにも起こらないのにじわっと感動してくる。」

    すごい!めちゃめちゃ伝わってる・・・この人すごいわ。きっちり受け止めてくれてはる。



    RV8



    しかもね、個人的にはこのツイートも凄いと思った・・・「僕は映画ほとんど見ないから例えがおかしいかもしれないけど、RV8聴いてて、小津安二郎氏の映画をみてていつの間にかぐっと感動しているみたいな感覚も思い出した。」・・・『RV8』の作品中で一貫している感覚はミニマルな時間軸に基づいた穏やかな観察眼的視点だと個人的にも感じていたから、小津安二郎の映画を引き合いに出しているのはまさに言い得て妙だと思う。

    うわ、この人会いたい!まさに自分が求めてたことを的確に書いてくれてはる。参りました。小津の映画に関してもまさにそう。主観を排した「観察」っていう感覚。・・・いままでって、何とかこねくりまわして「踊れるリズム」っていうものを強引に作り出してたんやけど、「湧き出てくるリズム」っていうものに意識が向きはじめてからは、自然に聴けるような方向にアジャストするようになって。いままでは、どっちかと言うと「作り込まれた日本庭園」みたいな音楽やったのかもしれへんと思ってて。今回のアルバムは、自然の中にある過激な現象を—同時にそれは穏やかなものでもあるんやけど—さっきのツイートしてくれた方が言うてくれはってたように、小津安二郎のようなじっと見据えて観察する視点で、そこから湧き出てくるリズムを自分が感じたままのかたちで、自分の好きな音楽のフィルターを通してあてはめていったというか。

    こねくりまわした、っていう意味ではかつての『Indigo Rose』(2002) がかなりやり切ったアルバムだったからね。『Simply Funk』(2004) から『Parabolica』(2006) を経ていくうちに、孝允が言う「自然に湧き出る」今のアプローチにシフトしていったように思う。

    な。今思うと『Indigo Rose』は作為の極致やったなあ。

    いやいや、あの作品はあの作品で、当時出来ることをやり尽くしたアルバムだったけどね。

    うん。せやね。そういう作為っぽさは『Simply Funk』ぐらいまではちょっと引きずってて、まだ自分のなかに迷いがあったわ。

    まあ、アルバム1枚目とか2枚目だと、「人を惹き付けたい」っていう欲みたいなものがどうしたってある程度は出てきてしまうのは仕方ないもんな。

    そうそう。あったあった、めっちゃあった。印象的なもんを作らんとこのさき生き残られへんと思ってやってたし。そういう恐怖心・・・強迫観念というか。

    そういう強迫観念が、『Parabolica』あたりから徐々に削ぎ落とされてきた。

    うん。本来音楽って自分も楽しんで人にも楽しんでもらうものというか、人を解放するものだと僕は思ってるんやけど、それまでは生き残るためのツールとして考えてしまってた部分があったのかもなー、と。でも本心の潜在的な部分では、やっぱり音楽が好きやし楽しいし、楽しみたいっていう純粋な気持ちがあって。そこに経験の無さとか意識の低さ、無知さ、理解の浅さもあって、、、そういう思考の産物が原始的な音楽の楽しみに覆い被さって蓋になってたというか。で、いろいろ経験させてもらっていく中で、自分が解放されて重しになっていたものが取れていって、そうなるとこれまで重しになってたものがただの表層というか色づけになって削ぎ落とされていって、芯に残ったのは自然な音楽本来の歓びであったり楽しみだったり・・・。そういう部分が今回の『RV8』で出せたかなと思ってる。



    「物事ってほんまに両極端なものが混在してん
    ねんなーって思う」






    そうだね。その芯に残った部分は孝允という人間が本来根源的にもっていた資質でもあるわけで。

    うん、ほんま剥き出し。このままいったら、無音とかになってまうんかな?周波数のうねりが「ウゥン、ウゥン」いうてるだけとか。

    フリークエンシーのうねりだけ?

    そうそう。揺らぎだけ。

    でも、それでダンスできるんだったらアリでしょ?

    アリやね(笑)。発振・・・オシレーション。タイトルは『Oscillation』でね。これ、いいなあ。

    孝允がよく言う「問答無用」感がにじみ出てるよね。

    「問答無用」ってすげー圧倒的な部分もあるけど、でもほんまに危ういぐらい意味が無いし、アホやん。物事ってほんまに両極端なものが混在してんねんなーって思う。アホっていうか、シンプルの極み。

    意味に意味を重ねることで見せかけ上はもっともらしく体系づけられたものになるけど、それは一種のトリックでもあるしね。

    そういうトリックが効力を発揮した過去の歴史もあったと思うけど、情報の蓄積、ノウハウの蓄積、経験の蓄積、意識の蓄積がなされてきて、だんだんカテゴライズとか意味付けが強度を持たなくなってきてるんやろね。昔、Jean Baptist Andreっていうフランス人のダンサーとYCAMで共同制作したことあったでしょ?その知り合いの哲学者の人が言うててんけど—その人は哲学者としての研究の一方で、サイドビジネスとしてプログラマーもやってる不思議な人やねんけど—彼が言ってた"Simplicity can be found everywhere"って言葉があって、つまりどんな場所、どんな分野でも最終的にはシンプリシティへ到達しようとする志向を持ってるってこと。いま、人類の前にある問題の局面はそういう部分なんやろな。そこに無視を決め込むか、ほんとに理解して受け止めるかで大きく変わっていくと思う。

    テクノのパーティとかもシンプルの極みだもんね。「良い音楽を聴きたい、ダンスしたい」っていうシンプルな欲求が集まってる場所だし。まあ、人によってはいろんな人とおしゃべりしたい、社交したい、酒飲みたいみたいな目的もあったりするし、それもクラブっていう場所の機能のひとつだけど。

    そうそう。たぶん、僕らとかは普通にクラブに遊びにくる人たちに比べても異常なほど「音楽しか聴いてない」と思うねん(笑)。クラブに着いたら、おしゃべりはそっちのけで酒もそこそこに「まず音楽!」「踊る!」って感じやから。

    孝允は一昨年大阪に帰ってきて以来、めちゃめちゃたくさんライブこなしてるでしょ?

    そうやね、いっぱいやらせてもらってるなー。

    今回の『RV8』は、こうしたライブという実戦の場でテストを重ねて熟成させていった作品という印象を受けてて。しかも、そのアップデートの内容も、ただパーツを増やしていくというよりはむしろ余分なものをどんどん削ぎ落としていったというか。

    うん、ライブという場でいろんな部分を最適化(オプティマイズ)していった。ほんまに強力で良いサウンドシステムやったら、サウンドの解像度としての許容度が高いからパーツをどんどん足していくっていうアプローチでも機能するとは思うねん。でも、どの場所でもそういう良質なサウンドシステムが備わっているわけではないから、そのなかで一番鳴る音、鳴らしたい音を軸にして最適化していくっていうのを試してた。良いサウンドシステムでも、そうでないサウンドシステムでも、そのどちらでもある程度鳴ってくれる領域っていうのがあるねんな。いままではスーパーハイとかスーパーローとか、ハイスペックな再生環境でしか鳴らされへんようなエクストリームな音も使ってたけど・・・。

    それに関連して言うと、今回の『RV8』はまりんさんのマスタリングも非常に功を奏してるよね。どんな再生環境や音量でも、孝允が意図するサウンドのニュアンスなり輪郭なりが伝わりやすい。

    そう、音像が把握しやすい。どのサウンドシステムで聴いても、自分が欲しかった音像が「そこにある」って感じで。それがねぇ、今回まりんさんにやっていただいてほんま「すげー!」っていう驚きやったね。今回のまりんさんのマスタリングは、自分が求めてた音像がそのまま大きくなって解像度が高くなって、存在が近くなったと思ってて。目の前で「ボーン!」って鳴ってるって感じ。

    素材に色づけするっていうアプローチのマスタリングじゃないよね。むしろ、もともとある色彩だけを使ってさらに際立たせるというか。

    そう。それもまさに引き算の美学。

    これからすぐにヨーロッパへツアーに出発するけど、その前にA.M.のTシャツも追加制作しなきゃいけないんでしょ?

    せやねん。忙しいけどめっちゃ楽しい。

    MAAくんとやってるA.M.のデザインも、一貫したシンプリシティがあるもんね。

    そう。これまでの自分の作品でも意識しようとしてきたけど、今後はもっとシンプリシティを極めていきたいと思ってる。

    (*)ツイートは投稿者本人の許可のもと引用させていただいております。
    Tweets cited under permission from the author, thanks to kma @collectivek.


    • 文 /
      Kohei Terazono
    • 掲載日 /
      Wed, 10 Jul 2013
    • Photo credits /
      Header, Portraits - Yuna Yagi
      Horizon - AOKI takamasa
      Live - Miyu Terasawa
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      Born in Osaka, 1976. Presently living in Osaka. An artist who expose physical occurrences and natural phenomenon including humankind itself, by sound and photography through his penetrating point of view
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