
RAが選ぶベストフェスティバル2012年版がスタート

10. Jetzt Musik Festival
日程:3月21日-3月31日
会場:複数
地域:ドイツ、マンハイム
Jetzt Musikは、Time Warpへのウォームアップを果たす1週間のフェスティバルだが、2012年もチャレンジ精神に溢れた(そして手頃な価格の)ラインアップが用意されている。バラエティに富んだラインアップと会場で開催されるJetzt Musikは、クラブミュージックの外側に位置するエレクトロニックミュージックの可能性を探っていく。今年はMove Dが作家Thomas Meineckeとラジオドラマを上演、マンハイム国立劇場ではHighgrade Disharmonic Orchestra(Highgrade所属アーティストが同期させた5台のラップトップを使うライブ)の奏でるハウスミュージックにバレエダンサーが即興で振り付けていくステージが展開される。これでもまだ物足りないという人にはCasalQuartettが生演奏するクラシカルミュージックの名曲をStefan Goldmannがリアルタイムに処理していくというプログラムも用意されている。
RAピックアップ: 最終日の夜にChris Liebing率いるCLRがLoft Clubでプレイする。その翌日のTimewarpの狂宴へ向けての良い準備になるだろう。

09. The Black Weekend
日程:3月8日-3月11日
会場:Chamonix Ski Resort
地域:フランス、モンブラン
近年Snowbombingが成功を収めている中、同じようなフェスティバルがあまり企画されてこなかったことは不思議だが、フランスのモンブランにある有名なスキーリゾートChamonixに位置取る小規模なフェスティバルThe Black Weekendは今年4年目の開催を迎える。このフェスティバルでは、ウィンタースポーツは勿論のこと、昼夜共にパーティーを楽しむことが可能だ(Hot Dog Dayという面白い名前の日もある)。出演するアーティストは特定の方向に偏っているわけではなく、Carl Craig、DJ Hell、Nick Curly、Noze、I:Cubeなどシーンを横断した親しみやすいラインアップになっている。
RAピックアップ: 酔っ払って、Nozeで踊り、雪に埋もれよう。

08. 5 Days Off
日程:3月7日-3月11日
会場:複数
地域:オランダ、アムステルダム
5 Days Offは一流のエレクトロニックミュージックが聴けるフェスティバルという枠には収まらない存在という評価を築いている。このフェスティバルはクラブミュージックだけに焦点を当てておらず、弟分である5 Days OnがDe Balie Expositieを会場として同時開催し、そこでは写真と映像のエキシビションが行われる。5 Days Off自体はフェスティバルのタイトル通り5日間に渡って開催され、アムステルダムで最も有名なクラブの中の2つ、ParadisoとMelkwegが会場として用いられる。WhoMadeWhoがParadiso、そしてSBTRKTがMelkwegでオープニングを務め、2日目にはGaslamp KillerとHudson MohawkeがParadisoに登場、3日目にはMonolakeのオーディオ/ビジュアルライブとSteffi、Ben Klock、Tobias、Ryan ElliottのOstgutチームがMelkwegに登場する。
RAピックアップ: Melkwegの2日目にJeff Millsが登場、Axis20周年を祝うロングセットを披露する。

07. Awakenings Rotterdam
日程:3月3日
会場:Maassilo
地域:オランダ、ロッテルダム
スタジアムサイズのテクノフェスティバルでAwakeningsよりも有名なフェスティバルはそう多くない。オランダ国内の様々な都市で年数回開催されるこのフェスティバルは毎回強力なラインアップを揃えることで有名で、テクノ界のハードな部分を担うアーティストが呼ばれている。しかし、今回は比較的バラエティに富んだラインアップとなっており、このフェスティバルにふさわしいSpeedy JやGary Beck、そして重厚なシンセとメロディが特徴のGui Borattoが出演する他、Pan-Pot、Tiefschwarz、Guillaume & The Coutu Dumontsといったアーティストたちも出演するため、今年のMaassiloにはややハウス寄りなサウンドも鳴り響くことになるだろう。
RAピックアップ: ロッテルダム出身のSpeedy Jがホームタウンで素晴らしいプレイを披露するはずだ。

06. SXSW
日程:3月9日-3月18日
会場:複数
地域:アメリカ、テキサス州オースティン
混み合ったパブ、裏通り、トラックの後部ベッド、タコスの屋台、そしてテキサス大学の学生寮など、SXSWの開催期間中は街の全てが「会場」となる。次のトレンドを探している人、仕掛ける人、そしてコンベンションセンターを探す人(勿論期間中は会議も開催される)などが、今年ブレイクを果たしそうなアーティストを一目見ようと大挙する。20年以上の歴史を持つこのフェスティバルは高い評価を得ているが、かつてのようなインディーロックではなく、近年はアコースティックファンとエレクトロニックファンが出会う場所として急速に成長を遂げている。エレクトロニックミュージックのアーティストとしてはChrissy Murderbot、Com Truise、Oneohtrix Point NeverやSBTRKTが出演するが、その他にも何百ものロック、フォーク、ヒップホップ、エクスペリメンタル系アーティストが出演する。また、もしいくつかのオフィシャルイベントで観客数がオーバーして入場できなかったとしても心配することはない。他のイベントは問題なく入場することが可能だ。
RAピックアップ: 去年Thundercatのデビューアルバムをチェックし忘れていた人は、SXSWで聴き逃さないようにしておきたい。

05. Playground Weekender
日程:3月2日-3月4日
会場:Del Rio Riverside Resort
地域:オーストラリア、ワイズマンズ・フェリー
オーストラリアで人気がある小規模なフェスティバルのひとつがPlayground Weekenderだ。シドニーから車ですぐに辿り着ける川沿いの美しいエリアで3日間に渡って開催されるこのフェスティバルは、リラックスした雰囲気と前衛的なラインアップによってオーストラリア国内で高い評価を勝ち得ている。今回はBonobo、Fat Freddys Drop、Roots ManuvaがDamian Lazarus、Lee Burridge、Art Departmentなどのハウス系アーティストと並んで出演する他、ディスコのGreg Wilson、レイブサウンドの始祖The Orb、そしてApplied Rhythm Technologyを率いるKirk Degiorgioなどベテラン勢も出演する。
RAピックアップ: Greg WilsonがクラシックなスタイルをBig Topステージで披露する。

04. Ultra Music Festival
日程:3月23日-3月25日
会場:BayFront Park
地域:アメリカ、マイアミ
1日目 | 2日目 | 3日目
アメリカのメインストリームなダンスミュージックの状態を知るにはUltra Music Festivalは非常に良い例だ。その部分が今年のラインアップに名を連ねているアンダーグラウンドなハウス/テクノ系アーティストたちにはどのように影響するだろう? 予想は難しいが、この国の最近のエレクトロニックダンスミュージックの急激な盛り上がりと一致する存在、Seth TroxlerとJamie Jones(共に日曜日に出演)のようなアーティストがアメリカ国内におけるネクストレベルの成功を手にし始めることになるだろう。WMC中の3日間の開催期間、約15万人の観客数、多数の巨大なステージなど基本的な部分は例年通りで、Kraftwerk、Justice、Carl Cox、そしてSven Vathがヘッドライナーを務める世界最高のダンスミュージックを披露する。
RAピックアップ: 当然だが金曜夜のKraftwerkのライブ。

03. Future Music Festival
日程:3月3日-3月12日
会場:複数
地域:オーストラリア、各都市
ブリスベン | パース | シドニー | メルボルン | アデレード
オーストラリアの他のエレクトロニックダンスミュージック系フェスティバルがややメインストリーム寄りなのに対し、Future Music Festivalは幅広いジャンルからアーティストを探し出すことで独自の進化を続けている。今年のツアーはPeter Hook抜きの新生New Orderがヘッドライナーを務める予定で、このフェスティバルの独創的な思想を代弁している。またJames Murphy & Pat Mahoney、Hercules & Love Affair、The Rapture、Benoit & Sergio、Holy Ghost!、そしてJuan MacleanとDFAのアーティストが多数出演するのも見逃せない。ハウス/テクノファンにとってはJamie JonesとSven VathのDJ、そしてAphex Twinのライブが楽しみだろう。Horse Meat Discoも参加する今回はかなり素晴らしい内容になるはずだ。
RAピックアップ: 歌詞を知っているならば、Benoit & Sergioのライブで一緒に歌うのが良いだろう。

02. Timewarp
日程:3月31日
会場:Maimarkthalle
地域:ドイツ、マンハイム
毎年3月は、世界中のどのクラブもラインアップ的にやや弱い週末を抱えることになる。その理由はヨーロッパのフェスティバルシーズンを開幕させるためにテクノ系のビッグアーティストが全員マンハイムのTime Warpへ出演するからだ。ここ数年のTime Warpのラインアップには変化がないという批判の声も聞こえるが、逆にSven、Richie、Ricardo、Carola、Dice、Dubfireなどがなぜ毎年出演し続けているのかと考えてみるのはどうだろう。つまりTime Warpは最高のビッグフェスティバルのひとつで、その規模ゆえに巨大なMaimarkthalleが施設として必要になるのだが、何故かそこにはくつろいだ親密な空気感が存在しているのだ。今年は前述したビッグネームの他にもChris Liebing、DJ Rush、Marcel Dettmann、Ben Klock、そしてLaurent Garnierと彼のプロジェクトLBSなど、ありとあらゆるテクノアーティストが参加する。
RAピックアップ: ハウス系としては地元出身のNick CurlyがMathias KadenとB2Bセットを披露する。

01. Miami WMC
日程:3月16日-3月25日
会場:複数
地域:アメリカ、マイアミ
去年のマイアミはWMCとUltraの日程が離れて開催されたため混乱が起こったが、2012年は元通りとなった。WMCの日程は2倍の長さとなり、より多くのパーティーが開催されるが、Sunday Schoolは残念ながら開催されない。しかしElectric PickleのCrosstown Rebelsレーベルナイト、Listedのリラックスした雰囲気のボートパーティー、そしてThe Shelborneのノンストップのプールサイドパーティーなど沢山のイベントはいつも通り開催される。このフェスティバルをしっかりと楽しむには特定の人格(そして特定のジョークのセンス)が求められるかも知れないが、WMC期間中のマイアミよりもカラフルで豪快な何かを見つけるのは難しいだろう。
RAピックアップ: 発表されているアーティスト数が現時点では少ないため何とも言えないが、Electric Pickleの純粋な快楽主義に勝るものはない。