LAS - Jungle Kitchen

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  • フィンランドのプロデューサーLassi Kaarle Viljami Vainionpää(LAS)は、ダブステップの世界に後期から参加した存在だ。初期作品をBlack BoxやInnamindといったレーベルからリリースしたのは2011年頃である。ダブステップが長い年月をかけて異なるシーンからアイデアを取り入れていく中で、このジャンルに魅了されたアーティストの多くと同様、彼の音楽もまた変異し始めた。Vainionpääの最新作がInnamindによる新たなサブレーベルBlacklistに到着した。本作はこれまでのLAS作品の中でトップクラスだ。ダブワイズが施された威勢のいい音楽性を多様な4つ打ちに形成しており、ダブステップの不穏な感覚が、より滑らかで、そして、より効率化された形の中に落とし込まれている。 "Jungle Kitchen"では、ゆったりとして、どこか不気味に感じられるリズム上に、ダブテクノのコードを纏わせている。さもなくば殺伐としていたであろう枠組みに、Vainionpääが大量のパーカッションを詰め込むことで、トラックを活き活きとした状態に保っている。"Jungle Kitchen"はゆっくりなトラックかもしれないが、そこには活力が詰め込まれている。一方、"Pocosink"のテンポは少し速くなっているが、その所作には同様に簡素で落ち着いた感覚があり、Livity Soundからリリースされそうな類のウォブリーなテクノだ(そして、それは素晴らしい賛辞である)。後期のダブステップにおける輝かしい才能のひとり、Commodoが参加しリミックスした"Jungle Kitchen"では、テンポをBPM136まで上げて、トラップとダブステップの中間に位置するトラックを仕上げている。本作上では、このリミックスが奇妙に映るが、オリジナルトラック2曲と同様、見事に構築されている。ダブステップとテクノによる思いもよらないやり取りは、引き続き多くの良作を生み出し続けている。そして「Jungle Kitchen」からは、LASが何か凄いことをやりそうな気がしてくるのだ。
  • Tracklist
      A1 Jungle Kitchen B1 Pocosink B2 Pocosink (Commodo Remix)
RA